――― Marky on the WEB

2002/8/15
ユース・ウォーター・ジャパン

「2003年は水の年になるよ」と、僕は会う人会う人にいっている。そう、2003年3月に、京都で第3回世界水フォーラムという国際会議が開催されるのだ。我が日本という国は、外圧があってはじめていろんなことに気づいてきた歴史があるのだが、今回も世界中の人が「水」をテーマに京都に集まることで、もう一度私たちの暮らしの基本要素である「水」を見直そうという流れになるだろう。

「上善水の如し。水は万物を利して争わず、かつ人のにくむところに居る」
という言葉は、老子の言葉。水は人間だけでなく、地球上のあらゆる生命体のために必要不可欠なもので、みんなの役にたっている。かつ、人がいやがる下の方に、下の方に流れていく。暗に、「そこそこできる人間でも、そうそう人の上にたとうとしたり、偉そうにするもんじゃないよ」と老子はいっているのか。ともかく、この言葉を知って以来、僕は「水」のような人になりたいと思ってきた。みんなの役に立ち、利権をとりあったりせず、かつ人がいやがるポジションをすすんで担う。(まだまだ全然できていないけどね)

日本で、この国際会議を開催するということで、会議の事務局は国土交通省の河川に関する部署が取り仕切っている。そして、この会議に呼応するようにユース(若者)が動き始めた。その名も【ユース・ウォーター・ジャパン】。なかなかかっこいい名前でしょ。前回の世界水フォーラムに出席した2人の日本の青年が呼びかけて、日本国内の水ムーブメントを起こしていこうと、東京・京都2カ所で活動をはじめました。まずは水問題の知識をつみかさね、専門性を確立していったうえで、日本国内で水に関する問題喚起を行い、京都の会議でアジアを中心に水をテーマに活動する青年を招へいしてユースセッションという時間をもち、ひいてはユース・ウォーター・アジアという、行動ネットワークをつくっていこう!という構想だそうです。うーんすごい。

新しいプロジェクトには、自然と新しい人があつまるもの。このユース・ウォーター・ジャパンで活動をはじめようと、20代の若者が次々とあつまってきました。とりわけ東京のメンバーは、NGO 活動の経験があまりないということで、僕が活動の基本技術に関するトレーニングを行うことになりました。8月10日、11日と2日間にわたって、国立オリンピック記念青少年総合センター(通称オリセン)にて、実施しました。いやー、これが楽しかった。

学習項目としては「短期キャンペーンを行う上での注意点」「97年の地球温暖化防止京都会議で行われた青年のキャンペーン紹介」「会議のすすめかた」「企画のつくりかた」などで、これらをレクチャーしたのちに、実際にいくつかのテーマで会議をやってみたり、企画書をたたいていったりと、実践的なトレーニングの場となりました。「たくさんある水問題のなかでも僕たちが取り組むべき問題は、やっぱりダムについてだ!」「いやいや日本の文化としての水にフォーカスすべきだ」とか「そもそもユースがなぜ、水に取り組むのか?」「ユースとは何なのか?」とか、熱い議論が交わされました。活動経験は浅いけれど、飲み込みの早い参加者が多く、会議のファシリテーターなんかもすぐにコツを覚えたり、企画のターゲット層をすぐにしぼりこんだりできるなど、柔軟なチームでした。また、「じゃぁ今からストックホルムに会議にいってきまーす」とか、「このあとの新幹線で京都に行って、徹夜で話しをつめてきます」とか、「今月末にはヨハネスブルグ・サミットにいるので、そこで会いましょう」とかっていう、むちゃくちゃな行動範囲の広さもすごいところです。

国際会議が半年後に迫っていて、かつ、やろうとしていることが大きいので、いくつか心配な点もあるのですが、僕としては今後も応援していきたいと思います。みなさんもよかったら、Web等をご覧になったり、はげましのメールを送ってあげてください。なお、ユースの方でお時間のある人は、「週に1回のミーティングにこれるひとなら誰でも参加大歓迎」ということなので、ぜひ参加してみてください。
http://youth-waterjapan.hoops.jp/

水は、我々の生活の基本要素です。
空気や、土や、食料とならんで、私たちの暮らしになくてはならないものだと思います。ガスが止まっても生きていけるけど、水道が止まったら生きていけないのです。動画が送れる携帯電話とか、むちゃくちゃ早いインターネットとか、きれいな画面のプラズマテレビとか、べんりな家電「ふきそーじき」とかも大切だろうけど、もっと基本的に大切にするべきものに、僕たちの関心を向けたいものだと思います。

世界の20億人近いひとが、安全で清潔な水を手に入れることができないという現実や、日本という国が、食料輸入を通じて実質的に他の国の水を奪ってしまっているという現実に、真正面から取り組むユース・ウォーター・ジャパンのメンバーを、今後も応援していきたいと僕は思います。