――― Marky on the WEB

2002/9/9
スタッフミーティング

第2回のミーティング・ファシリテーター入門講座が終了した。今回もまた、九州から3名の参加者をまじえ、年齢、バックグラウンドともに多種多様な方にご参加いただいた。基本的に第1回で行ったことと同じことをやったのだが、同じ内容、同じ配付資料とは思えないちがった空気のなかの講座だった。

正直いって、初日は苦戦をした。基本的なラインはクリアしているんだが、微妙にちがう。前回の反省をふまえて追加したレクチャー部分や、完成度を高めようとした部分、あえて削った部分、これらの微妙なさじかげんが、「いま、ここ」の場にいまいちフィットしていないような気がしていた。参加者のなかに不活性な参加者層と、活性化された参加者層ができてきた。

初日の夜、スタッフミーティングを行った。前回同様、参加者に公開することにした。交流会場とは別部屋で、プロデューサーのみねさん、アシスタントのやあのと僕の3人でスタッフミーティングを開始したのだが、開始後5分で、参加者全員が、見学にきてしまった。これはすごい。関心の高さをうかがわせる。

初日を終えたところで参加者に書いてもらった中間アンケートを読み込み、スタッフミーティングを開始した。アンケートから読みとれるもの、参加者の表情、休憩中に交わした会話の中から感じたことなどを話し合った。「蚊が多い」とか「照明がすこし暗い」とか「食事が高い」とかいった施設面のはなし、「情報量が多い」とか「実習をもっとしたい」とか「あの話しは印象に残った」とか、内容面のはなしをした。

プロデューサーであるみねさんから、鋭い指摘をもらう。前提として、スタッフミーティングの場には「参加者はいないもの」という仮定で、オブザーバー参加してもらっているので、本音のコメントがざくっざくっと出てくる。裏話も、想定外のトラブルも、率直な参加者分析も。

どうしても前回と比較してしまう。前回に比べて何かが違う。微妙な違いだ。ディスカッションのうえ、それが「躍動感」であることに気づく。前回は不完全な部分があったものを、その場で、参加者の声をもとに補いながら時間をつくっていった。今回は前回の反省をふまえて、完全につくりこみ過ぎた部分に、躍動感を感じられなくなっているのではないかという話しをした。

会議中、僕は何度も「うーん」「むむむ」「どうしようか?」と声に出して悩み苦しみ、眉間にしわをよせ、歯をかみしめた。

家の近くの美人歯医者さんのコメントが脳裏に浮かぶ。 『青木さん、ずいぶん歯がすりへってしまってますよ。悩んだり考えたりするときに。歯を強くかみしめたりはぎしりをするようなお仕事なんですか?』 そうなんです。僕の仕事は歯を食いしばる仕事なんです。

なんだかんだ話して、翌朝のプログラムスタートまでの10時間で、ベストな対応をしよう、という話しで終わった。「まぁ、なんとか考えてみるよ」と僕はいった。

スタッフミーティングはこうやって40分で終わった。短い時間ではあるが、ずいぶん内容の濃い時間だった。ミーティング終了後、オブザーバーとして見ていた参加者の声を聞いた。それぞれファシリテーターとしての経験のある人や、そうでない人から、またあたらしい視点を得ることができた。「そうか、そんなに前回はよかったのか。うらやましいなぁ」と言ったひともいた。参加者分析をきいて、あとで「わたしはここにくるべきじゃなかったのだろうか」と悩んだ人もいたようだ。

いろいろあるが、僕はこうやってスタッフミーティングを公開するというやりかたは、とても好きである。講座の内容とか趣旨とかが、裏面も含めてつたわることもあるし、なにより僕が参加者なら、もっとも覗いてみたい部分だ。ファシリテーターにとって、日々の進行をふりかえり、他者から率直なフィードバックをもらい、悩み、考え、自ら改善していくことは、とても大切な作業なのだ。

ということで、この場をかりて、ミーティング・ファシリテーター入門講座に参加してくださったみなさんに感謝の気持ちをつたえたいと思います。ありがとう。それからプロデューサーとして、この企画をいっしょにやっているみねさんにも、あいかわらずの感謝を。福岡に行っても、いっしょに仕事しようね。

さらに、このページをごらんいただいている読者のみなさんに、提案したいと思います。みなさんがもし、なんらかの学習プログラムや、ワークショップ、イベントなどの実施者であるのであれば、よかったら、いちどスタッフミーティングを公開にしてやってみませんか? なかなかいいものですよー