――― Marky on the WEB

2003/5/27
ファシリテーターがなぜ必要か

最近、だんだん自分のなかでやりたいことが明確になりつつある。これはとてもよいことだ。
僕がここ数年でやりたいのは、ファシリテーターの育成だ。「参加型の話し合いを促し、進める人」であるファシリテーターは、これからの社会においてますます重要になってくると思う。

たとえば、みなさんの会社や団体における会議で、ファシリテーターがいると、個々人の力が引き出され、いいプロセスで、納得のいく結論がでるようになったりする。もしくは、みなさんの地域づくりやまちの計画づくりの場にファシリテーターがいると、住民が参加するまちの計画がつくられるようになったりする。もしくは、みなさんが学習したり研修を受けたりする場にファシリテーターがいると、参加型・体験型の楽しい研修が実施され、講師の持ち味が活かされ、よりスムーズに研修内容が腑に落ちていく。。。。 僕はそんな状況が生まれることを期待して、今、ファシリテーターを育てたいと思う(もちろん、自分自身も育ちざかりなのだが)。

市民社会をつくっていくためには、参加の場を進行できるファシリテーターが必要だ。

僕のひそかな夢は、「ファシリテーター3万人計画」だ。日本において、プロ意識をもってファシリテーションできる人間を3万人ぐらい育てたい。日本には公認会計士が1万人、税理士が6万6千人ほどいるらしい。どんな会社でも、公益法人でも会計や税に関しては会計士や、税理士に相談してすすめていく。全国どんな地域のどんな団体でも「参加の場をつくりたい」と思えば、ちかくにファシリテーターをたのめる人がいる、という状況を生むことができれば、社会の変革はよりスムーズになっていくと思う。

ファシリテーターがいるということは、「その場にいる人が、いきいきと参加して、望んでいる状況を生み出す」ということなのだと思う。会議の場であっても、研修の場であっても、地域の計画づくりの場であっても。いま、みなさんが接している場面が、本当に「それぞれが参加して、望んでいる状況」になっているだろうか? 「こんな会議につきあいたくないなー」とか「つまらない講義をきかされっぱなしになっている研修」とか「みせかけの参加にとどまっている地域の計画づくり」は多くないだろうか。

「私たち生活者が本当に望んでいる状況」と「現在の社会」には少なからずギャップがある。そのギャップを埋めていくのがファシリテーターの機能であり、役割だ。

僕はいずれは、国会や、県議会、市町村の議会などにもファシリテーターを導入していくべきだと思っている。いまの社会の仕組みを決めたり、法律を決める会議の場が、たんなるパワーバランスだけで進められているのはまちがっている。私たちの税金の行方をきめていく場は、国民もしくは、国民が選んだ代表が、存分に参加できている状態で進められるとよいのになぁ、と思う。

また同時に僕は、学校の運営や、会社の運営、マンションの管理組合の運営、原発をその地域が受け入れるかどうかの話し合い、市町村合併の際の話し合いなども、参加型で話し合われる風土をつくっていきたいと思う。「誰かが勝手に決めていく社会」から「自分が参加して、いっしょに話し合って決めていける社会」に変革することが、これからの未来をつくっていく原動力になるはずだ。ファシリテーターはそのために必要なのである。