ここ2週間ほど、教育に関連する仕事がいくつかあった。
川崎市のPTA役員のための「話し合いの進め方講座」を皮切りに、山形県では教員向けの環境教育研修、福島県では主にフリースクールのスタッフを対象にしたファシリテーター講座、東京では環境教育に熱心な進学塾SAPIXと、スウェーデンから来日している教育者・バルブロさんとの対談などを進行した。
あれこれやりながら、教育について考えた。少し長くなったけど、よかったら読んでください。
◆覚えなくてもいいことを、たくさん覚えさせられている?
一番、面白かったの会話は福島のフリースクール寺子屋方丈舎の江川さんと話した「デシリットルって単位、覚えていますか? 学校を卒業してから、使ってことあります?」という会話。
ちなみに僕はまったくない。何人かの大人に聞いてみても「そういえば、、、」と言ったきり「あれって何ccのことだっけ?」という具合だ。
将来、まったく使わない単位や単語をさんざん覚えさせられて、それを覚えたかどうかを細かくテストで評価されるというのは、どうにもおかしいと僕は思う。そんな時間があったら、もっと自由にすごせるといいのに。
「大人になっても、全く使わなかった知識一覧」をつくって文部科学省に削減提案をするワークショップも悪くないなぁと思った。
◆学び方さえ学べば、あとは勝手に深まって行く
スウェーデンから来日しているバルブロさんは、進学塾SAPIXの環境教育担当の人と対談するなかでこんなことを言っていた「スウェーデンでは、14才になるまで、子どもを点数で評価したりしない」なるほど。そんなこと、必要ないんだね。
「例えば、健康というテーマで、何を学んで行くかは、子どもたち自身が選んでいくというようにやっている。8月にテーマを決めて、2月に発表する。強制的に何かを学ばせるのとはちがって、自分が関心をもったことを自分で深める、そういった教育スタイルが重要だ」と。
「自らの意思と選択にもとづく参加」こそ、重要な民主主義教育だ。日本の場合は体験学習とかいっても、全員で同じ事を、やりたくもないのに強制的にやらされる場合が多くて悲しい。
「それでは、指導する側が先を予測できないじゃないですか? 教員が不安になる」という声は、率直な教員現場からの声。環境教育を始めるとき、こんな声はよく聞かれる。それに対してバルブロさんは
「大事なのは、知識を教えることではなく、自分に必要な知識を自分で探し出して、選択して、使っていく方法を教えること。知識自体はインターネットをひけばどんどん出てくる時代だからこそ、調べ方、学び方を伝えるべし。学び方さえ、学べばあとは勝手に子どもたちが学んでゆくのだ」と。おっしゃるとおり。
教員の優位性を保つために、授業や子どもや学習方法が存在するのではない。子どもたちが健全に学ぶために存在するのだ。
◆フリースクールの面白さ
フリースクールのスタッフを主な対象に、会議の進め方の研修を行った。彼ら、彼女らは暖かく、楽しみながら仕事をしている。給料は高くはないが、権威をかざさないで一人間として子どもたちと接している。すばらしい。
学校に行かなくなった不登校の子どもたちがどんな風に学んでいるか、教えてもらった。基本的な時間枠はあるものの、その個がどんなことを深めたいかを聞きながら、いっしょになって学びをつくっていた。
僕がおじゃました方丈舎というフリースクールでは、学校の運営に子どもの立場から参与する「子ども理事」もいた。
子ども理事のKさんは、来月開かれるフリースクール世界大会に出席することが、いかに日本の教育環境や労働環境、ニートのおかれた状況を変革することにつながるかを力説しながら、一人あたり5000円の寄付を集めていた。
領収証を目の前に出し、なぜ、この寄付をする意味があるのかを熱弁をする彼女に、僕は心をうたれ、思わず一口乗ってしまった。
いろんなNPOの理事と話しをしてきたが、自分たちの活動の意義を、自分の言葉で堂々と語り、出会ったその場で寄付を求めるほどのエネルギーは、これまでの日本の理事にはなかったのではないか。
ともあれ、フリースクールの面白さは、そういった運営や学習内容が「他人が勝手に決めたもの」ではなく「自分たちのもの」になっている点にあると思う。
みなさんも、もしよかったらKさんのいる方丈舎に寄付をしてください。とても面白いところです。
http://www.houjou.npo-jp.net/topnew.html
また、他の国だったら、フリースクールなどには教育に関わる補助金などがまわってくることが多いのですが、日本では社会的に認知されていません。
こんな素晴らしい学びの場が未来ある若者スタッフの安月給労働によって、ぎりぎりの状態で支えられているのはちょっとしんどい。社会的にサポートできる仕組みを考えたいなぁ。
デシリットルにはじまり、いくつか教育について思ったことを書きました。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
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