――― Marky on the WEB
青木将幸ファシリテーター事務所

2007/08/22
ワークショップの源流を探る読書会&体験会
報告 その3「8分輪読法」

第3回の読書会では、「8分間速読」というのをみんなでやってみました。

課題図書は『日本の学校』(岩波新書 勝田守一著 1964)です。

デューイの『学校と社会』(講談社 市村尚久訳)は、日本の教育に大きな影響を与えた、と、紹介されることは多いのですが、じゃあ、日本の教育の歴史的文脈のなかで、いったいどんな影響を与えたのかを見てみようという視点でこの本をとりあげました。

面白かったのは本の読み方。

デューイのときは、事前に読んできて感想を話し合う、というスタイルだったのですが、なんとなく消化不良ぎみでした。もう少しお互いの意見交換をたくさんできたり、読んでいる途中に、いくつか意見交換や疑問を交わし合うプロセスがあるともう少し豊かに読めたのでは、という反省点もでました。

そこで、今回は「全員で同時に速読してから、話し合う」というスタイルを試みてみることに。

題して「源流式8分間輪読法」とでもいいましょうか。

やり方は簡単。

■「源流式8分間輪読法」 の進め方

○1:全員(今回は7名)で同じ本を手にして座る。タイマーを用意して8分にセット。

○2:「読む8分」 8分かけて、めいめいにその本を「速読」する。

○3:「各自書く8分」 つぎの8分をかけて、速読してみて、気になったこと、印象に残った言葉、もうちょっと知りたいこと、など、を各自、自分の手元の紙に書き出す。

○4:「話す8分」 手元の紙をもとに、ひとり1分ほど、気になったことを話し合う。

○5:「休む8分」 とりあえず、休憩。おやつでもつまむ。

○6:「問いをたてる8分」 全員と軽く意見交換したうえで、一緒に話して深めたいテーマを問いのカタチにする時間をもちました。

○7「語る8分」×8問 出た問いごとに、8分ずつディスカッション

○8「ふりかえる8分」 この進め方自体がどうだったかを、ふりかえりつつ話す8分

というやり方でやりました。

出てきた問いは

問い1・日本の教育のよいところと、そうでないところは?

問い2・学校とは、何をすべきところ?

   ・教育の基本は「生きる」ためのすべを身につけることなのか?

問い3・学校はなぜ必要か? という問いについてどう思うか?

問い4・書物によらない教育とはどのようなものか?

問い5・どういう人を育てたくて、どういう人が育ったのか? これまでの学校教育で、そのとおりに育ったりしたのか、今後もしていくのか?

問い6・著者がいう本当の「国民の学校」とは? どういう意味か?

問い7・「親がよろしくお願いします」と学校にあずけることについて、どう思うか?

問い8・この書籍から、ワークショップの源流を、どこに感じましたか?

というもの。これらの問いについて、めいめいが思ったことを話し合いました。各問いに対してたったの8分しかないので、とても深いとろこにいけるわけではないですが、いくつもの視点を得るという意味では、とても面白かった。

最後のふりかえる8分ででた感想は、「面白かった!」「みんなの意見がたくさん聞けてよかった」「この本を読んでみたい!と強く思うようになった」「これからこの本を読み進めるうえで、いくつかの視点やストーリーを得ることになった」となかなか上々の成果。

なかなか8分のタイムキープをするのは大変ですが、メリハリのあるディスカッションができました。こんなに8並びになるとは思っていませんでしたが、途中から半分遊びのノリもあって、とことん8にこだわってやろう!という雰囲気で、盛り上がっていました。

今回のやり方で得た視点や疑問点をもって、次回の読書会までに、各自で『日本の学校』を読んでくることに決定しました。一冊の本を読む前にやると有効な方法のように思います。

余談:8を横にすると無限大∞のマークになります。漢字で書いても末広がりだし、なんだか、縁起のよい数字だなぁと感じました。次回が楽しみです。