――― Marky on the WEB 2010/07/01
参院選を10日後に控えた、7月1日に「ワカモノの視点でマニフェストを読む会」というワークショップを開催しました。 この企画、政権交代が起こった2009年の8月にも衆院選直前に開催したのですが、選挙があるたびに開催する意味もあるなぁと感じています。 衆院選のときのレポートはこちら 当日来られなかった方のためにも、簡単にレポートいたします。 ■衆院選と参院選の違い ぐるっと名前と、始めるにあたって一言を言うところからスタート。青年環境NGO・A SEED JAPANで活動しているメンバーや、自立生活サポートセンター・もやいに関わるボランティアの方、子ども関連の活動をしている方や、NPOのサポートセンターをしている人、大学生、フリーター、会社員といった顔ぶれ。参加者のなかには「二十歳です。今回、初めて選挙に行きます!」といった人もいました。 机の上には、各党のマニフェストが並んでいます。 【この時間をすすめるにあたって】 という3つのグラウンドルールを確認して、スタート。 まずはペアをつくって、2人で話しはじめました。「この参院選、どうですか?」といった雑談から、本題に入るペアも、自己紹介をゆったりしているペアも。ある程度、話したところで、この2時間半で、とりあげたいトピックを出しあうと、こんなことが、、、 【こんな点を話し合いたい】 なかなか興味深いトピックたちです。 ざっと、ここまで出したところで、あとはフリートーク。途中で10分ほど「じゃあ、その視点でマニフェストを読んでみましょう」という時間をとった以外は、ずーっと話し合っていました。 以下、印象に残っている話題のみレポート。
■いろんな党があって、わかんない みんなの党のマニフェストの1ページ目には、「議論されるべき路線としては」という下りで、いろんな政党見極める論点が3つ出されています。 1,大きな政府か? 小さな政府か? ちなみに、みんなの党は、ぜんぶ後者とのこと。こうやって、他の党との違いをふまえたうえで、自分たちの党をアピールできているマニフェストは、なかなかスグレモノです。(他の党は、自分たちの言いたいことしか書いてなく、ポジショニングを明示できてない印象あり) 上記をあてはめて、各党のことを考えると、すこしスッキリするかもね、という話になりました。 ■みなさんの生活、大丈夫ですか? もやいの冨樫さんが投げてくれたこの問いには、何人もの方が反応していました。「私は、大丈夫じゃない」と強く訴える方もいれば、「この会に来るような人は大丈夫かもしれないけど、こられない多くの人は大丈夫じゃない」という声も。事業仕分けの影響でクビになった友人の話なども出され、民主党を中心とする政権の評価タイムをしばし。とくに鳩山さんがはじめた「新しい公共」については、そのプロセスを高く評価する声や「そんなのパフォーマンスにすぎないよ」という反論も。 印象に残ったのは「財源がなくなったから、公共を皆で担いましょう。というのは、なんか、違う。そもそも公共というのは、私たちのものじゃないか」という意見です。自分たちの暮らし、生活、幸せを、政府や政治に求めるんじゃなく、自分たちでつくっていこうという話題も盛り上がりました。 ■マニフェストって、頭が良くないと読めない! 各党のマニフェスト、いろいろと書いてあるけど、読み取るには相当な知識が必要。マニフェストを読んでいると「頭のいい人しか、わからなくて良いですよー」というメッセージが伝わってくる、という人もいました。このあたり、ダイジェスト版や4コマ・マンガバージョンをつくるなど、若い世代に伝える工夫があってもいいな。 きちんと理解するには、市民のサイドも相当勉強しないといけないね、という話題が出ましたが、皆が皆、そんなに幅広く、勉強できるわけじゃない。だからといって、ワンフレーズの「わかりやすい言葉」を吐く政治家を選挙で選んでゆくのも、ちょっとなぁ。などとぼちぼち語りはじめます。 政権交代の結果、政治のプロセスが、よりオープンになってきたよね、という確認もありました。これはこれで、歓迎 ■供託金って、問題じゃない? ある参加者が「そもそも、この選挙って、正当なんでしょうか?」という投げかけをしました。 選挙に出るときに、300万円もの供託金を出した人しか立候補もできないってのはおかしい、という話題。お金持ちしか立候補できないから、貧困の問題などにうまく切り込めないんじゃないかという指摘も。なるほど、そもそも選挙のしくみ、被選挙権の見直しって、どの党もやってないなぁと感じました。 たとえば衆院選は25才から立候補できるけど、参院選は30才からしか立候補できない。この5年の差は何? 何故? よくわかんないことがあります。特に答えが見つかったわけではないのですが、選挙のしくみ自体を見直して、より国民の声が通るしかけをつくっていきたいなぁ、というムード。
■子育ての政策は、大人目線 こども関連の活動をしているある参加者から「どの政党も子育て支援の政策を出していますが、子ども手当とか、保育園の数とか、働く女性を応援するとかっていうけど、<本質的に、子どもの幸せにつながるかな>っていう視点で見てないような気がする」という発言も。これに触発されて、世代別に「こんな政策やってほしい」という意見を出して、それを各党に見て貰い、マニフェストに反映してもらえるよなしかけを起こそうという意見も出ました。
■そもそも、を話せる場所が少ない 最後に、参加したみなさんから一言ずつ感想をもらって終了。 以下のような感想も、いただきました ・私だけじゃなく、みんなも「もやもや」しているんだな、というのがわかりました ご参加頂いたみなさん、ありがとうございました。
■おまけ:マニフェストを手に入れるのは、難しいと感じた顛末記 今回、開催してみてわかったのは、各党のマニフェストを手に入れるのは難しいなぁー、ということです。 もちろん、どの党もWEBサイトからダウンロードできるようにはしています。という意味では、もちろん手に入るルートはあるのですが、PDFファイルと、印刷された現物とは、また違うものですし、合計で数百ページにわたるPDFファイルをひとつの画面で比較検討すること自体が困難なのこと。印刷物のサイズ、紙質、閉じ方を含めて、マニフェストに何を託しているかを感じたい私としては、なるべく「実物」を手に入れようと思いました。そうしようとすると、難しい。 会の趣旨を伝え、「マニフェストを郵送してもらえませんか?」 と公示日前に連絡したところ、どの党も「基本的に郵送はできません」「公職選挙法の関係で、郵送は控えさせてもらいます」とのつれない返事。郵送してくれたのは自民党だけでした。 さて、「じゃあ、街頭演説にであったときにマニフェストを複数部もらおう!」と路線転換。運良く、共産党とみんなの党は、街頭演説を聞けたので、無事、ゲット。 さて、残る政党はどうするか? 民主党、社民党、国民新党のマニフェストは、直接、党本部に乗り込んで、いただきました。さすが政権与党、おまわりさんが20名、民間のガードマンが5名ほどいて、アポをとり、身分証明書をかざさないと、マニフェストを頂けませんでした。民主党、ピリピリしていたなぁ。国民新党は、おまわりさんが1名。取りに行くと、事務所に活気があるのが伝わってきます。この党は、自己流のこだわりが明確なので、ある意味わかりやすいです。 公明党に問い合わせると「ほぼ、配りつくしてしまって、党本部や、候補者の事務所にも残部は少ない」とのこと。前回の衆院選で、公明党のマニフェストが、いちばん「丁寧かつ真摯」な表現をしていたので、残念。ほかのマイナー政党と同様に、WEBからのダウンロードとさせてもらいました。 やっぱり実物を一覧できる、ってのは大事ですね。 そんな視点から、選挙の直前2週間ぐらいのみ開催される、「マニフェスト・バー」みたいなところをつくれたらな、というアイデアもわいてきました。そこにいくと、すべての政党のマニフェストがそろっていて、気軽にお茶やお酒を飲めて、意見を交わせる。そんな場所をつくっていきたいと思います。 駅前の飲み屋さんとか、図書館とか、公民館の一室とか、投票所の近くのカフェとかで、こういった場所がちらほらあると、いろんな意味で、政治が身近になっていいな、と思うのです。どなたか、「マニフェスト・バー」を一緒に開催して下さる方、場所を提供して下さる方、こんなやり方もいいんじゃない?という提案を下さる方がいたら、声をおかけください。 自分たちが、必要だと思った場を、自分たちでつくっていきましょう。
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