――― Marky on the WEB
青木将幸ファシリテーター事務所

2010/11/13

品のあるホテル

 

 

松本で仕事があって、「ホテル花月」に泊まった。これが、実にいい。

僕の場合、全国各地を旅してまわるような仕事です。北海道から沖縄まで、お仕事を頂けるならどこでも伺っています。まだお仕事を頂いてない県は、三重県、和歌山県、鹿児島県、宮崎県、佐賀県、大分県、愛媛県、茨城県、新潟県、福井県、鳥取県と11県(意外と西日本が多いなぁ。どの県も魅力的なので、ぜひトライしたい)。仕事をしながら、旅をしているような感覚もあって、新しい土地に訪れることは、好きなんです。

旅には、あご、あし、まくらが欠かせません。あごは、食事。足は移動手段、まくらは宿泊。旅の食事に満足することは多いです。今日は群馬の館林での仕事、昼食で頂いた「だいこん蕎麦」という食べ物は、非常にヘルシーで美味。店の主人に感謝を伝え、つくりかたを教わって、ほくほく顔で仕事に向かいます。カベには家元・立川談志の「我慢して食うべし」という名文句&サインが。

木挽庵 http://debari-syoku.blog.so-net.ne.jp/2008-08-05-1

仕事を終えたその足で、翌日の仕事場である松本に移動。新幹線と在来線特急を乗り継ぐこと3時間ほど。僕は「あしの時間」=移動時間というのが無性に好きで、なかでも電車の移動は格別。じっくり考え事ができたり、集中して原稿を書けたり、本に熱中して思わず涙したりしつつ、すごします。

はた、松本に着いたらホテルまで15分ほど歩きます。ステキな町並みなのは、日が暮れてから歩いてもよく分かる。良さそうな飲み屋を探し求めつつも、いまひとつピンとこずに、宿に到着。

そう、今回のお宿は、「ホテル花月」。普段から安宿ばかりとまっている私ですが、今回はちょっと高めのお宿(といっても、時期を選べば6000円台のプランもあるのが素晴らしい)。

全国各地を旅する私ですが、なかなか品のある宿というのは巡り会えないものです。 もちろん、一泊何万円も出せば、各地によきお宿はあるのだろうけれど、それは僕みたいな小僧が出せる金額ではない。その点、「ホテル花月」は素晴らしいお宿でした。なんといっても品がある。

明治29年創業の老舗で、松本民芸家具で統一した室内。椅子や机、クローゼットのすべてが、とても手触りのよい木製家具。色もシックで、感動的な室内でした。

お風呂(大浴場)もシンプルながら,旅人には最適の湯。温泉でこそないものの、アルプスの水は気持ちよく、温度もちょうどよく、何かと心地よい。細かいところだけれど、シャワーヘッドが非常によかった。水の出方、体への当たり方、水量の加減、うーん、うまく言い表せないよさがあります。全国のホテルの浴室設計を担当するみなさんは、松本にある「花月ホテル」が、どんなシャワーヘッドを採用しているかをチェックして欲しい。

それから、日本風の旅館などに必ず置いている浴衣と、その上に羽織るあのちょいと上着みたいなもの(茶羽織というらしい)も、とっても品がある。うーん、やっぱりいい宿は、モノのチョイスがいい。そう見ると、ベッドにかかっているシーツも、カーテンもよさそうに思える。こういうモノは、いったい何がいいのか? 素人の僕には説明しにくいけど、手触りがいいのは分かる。ホンモノの証拠だ(多分)。

フロント・スタッフの対応も、非常に柔和で親切。あと、必要最小限なんですね。余計なことを、そぎ落としている印象。晩ご飯を食べそびれた僕と、フロントとのやりとりが、以下。なんだか知的なお兄さんでした。

「夕飯を食べに出てきます」と、カギを差し出す僕。

「カギ、そのままお持ちになっても結構ですよ」とフロント・スタッフ。ふむ、なるほど。

「どこか、晩ご飯を食べるのに、いいところありますか?」と質問してみる。

ほんの少し、僕をみつめて
「居酒屋さんでよろしければ、この裏手にある<しずか>さんが、いいです」
「ありがとう」

って感じです。うーん、ふだんなら「その居酒屋のどこがいいんですか?」などと聞いてみたくなる僕ですが、受け答えが丁寧でありつつ、核心をついている応答が続いていたので、「じゃあ、まずはそこにいってみよう」という気持ちに。その居酒屋さんが、まさにドンピシャリ僕の好みの店だったのが、本当にうれしかった。こういう出会いは、なかなかないんです。ありがたいです。馬刺しも、ネギの天ぷらも美味でした。

まぁ、なんというか。うれしかったから書いてみた文章です。
みなさん、松本にお泊まりの際は「ホテル花月」へどうぞ。
http://hotel-kagetsu.jp/