――― Marky on the WEB
青木将幸ファシリテーター事務所

2011/3/2

ふるさと住民として、できること 
Deep in 熊野 はじめます


先日、青山ブックセンターで開催された『関わり方のまなび方』(西村佳哲さんの新著)出版記念イベントにてご一緒した、田北雅裕さんに、とてもよいことを教わりました。「住民には4つの種類がある」という話です。
田北さんは、大学院生の時代に調査で関わった杖立という集落がほっておけなくなって移り住み、ワークショップやそれ以外の方法を通じて、地域を元気にする取り組みをされてきた方。

住民には4つの種類がある、というのは以下のこと。
 1,まちの住民
 2,しずかな住民
 3,ふるさと住民
 4,応援住民

通常、まちづくりで住民参加を考えると、1の「まちの住民」の声が上がってくる。が、住民には、ワークショップや公聴会などに足を運んでものを言う住民ばかりではない。そういう場にでてこない人、出てこれない事情がある人もたくさんいて、でも、そういう人たちがいるから、そのまちは成り立っている。ワークショップに参加した人の声だけを集めてまちづくりをすればいいかというと、そうではなく、そこにこない人、つまり2の「しずかな住民」の声に耳を傾ける必要があるという話。田北さんは、ワークショプ以外のちょっとした立ち話や、世間話、共同作業の合間などを通じて、しずかな住民とのコミュニケーションを大切にされてきたそうです。

そして、地域で何かをやるときに、人手不足になることもしばしば。だから、必ずしも、その地域に住んでいる人だけが体をうごかせばいいかというと、そうでもない。3番目のふるさと住民(もともと、そこ出身だけど、今はふるさとを出ている人)や、4番目の応援住民(出身ではないけれど、観光や仕事などのご縁を通じてその地域を好きになった人)といった方々に、力を発揮してもらっていいんだよ、というお話し。

うーん、なるほど。そういう発想は素晴らしいなぁ!と思いました。まちづくりの場面で「私はヨソモノだから」とか「私はこのまちの生まれじゃないから」とか「僕はこのまちを出て行った人間だから」といった言葉を聞くことは、よくあります。そういった方々も含めて、一緒になって地域をつくってゆけるんだ、という包容力のある言葉に感じました。

ここ数年、僕と、僕の故郷とのつきあい方について、考えてきました。自分を産み、育ててくれた故郷に対して、何かしらの恩返しをしたい!という気持ちはあるけど、自分に何ができるんだろう? という気持ちがあった。

僕は、熊野(紀伊半島の南側あたり。三重県と和歌山県にまたがるあたり)出身で、18歳の時に東京に出てきて、はや17年が過ぎています。出身地への愛着はあったけれど、地域への貢献はこれといって、できてこなかった。

「ファシリテーションは都会で成立する仕事で、うちの田舎ではとても無理」という思い込みがあったのか、具体的なアクションを起こしてこなかったように思います。

しかし、35歳になった今、もう一度よく考えてみて、思い込みを捨て、「ふるさと住民」の自分がやれること、やりたいこと、今必要だと思うことに、トライしようと思います。

そんな矢先、実家に帰ったときに「熊野エヴァンジェリスト」なる人にお会いしました。

エヴァンジェリストというのは、福音を伝える伝道師のこと。熊野の魅力を伝えるサイトやツイッター、現地ツアーなどを通じて発信している方がいたのです。彼の名前は大竹哲夫さん、通称、てつさん。

てつさんと語り合うことで、自分が熊野で何かやれるんじゃないかという気持ちが高まって来ました。これまでに培った人脈や、企画力、ファシリテーションの技法などを活かして、熊野で何かしらワークショップ的な動きつくれればと思います。

まちの住民や、しずかな住民はもとより、ふるさと住民や、応援住民と、その予備軍的な方も、楽しみながら関われる機会になれば、と夢想しています。

熊野で開催する一連の企画名を、<Deep in 熊野>と名づけました。

熊野の深い魅力をお伝えしたいし、熊野でワークショップをすることで、より深い部分で自身を磨ける機会となればと思います。

熊野というのは不思議な土地で、そこに行くだけで、生命体のスイッチが入れ替わるような場所です。種類としては同じ樹木も、熊野で見ると緑が濃いように感じられます。同じ人間が集まって、同じようなテーマでワークショップをしたとしても、おそらく熊野ならではの深みというか、濃さがあるのではないかと思うのです。

交通の便がよい場所ではありませんが、高い湿度、高い気温、深い歴史が醸し出すその空間ならではのことがやれればと思います。

今後、色んな人と、熊野でできるワークショップやツアー、体験会のようなものを企画してみようと思います。「私も熊野に行きたい」とか「僕も熊野でワークショップしてみたい!」という気持ちのある方がいれば、声をかけて下さい。いずれも、魂の土地、熊野に滞在して、その魅力を味わいつつ、自身を磨くような機会となればと考えています。参加した方にとっても意味があり、かつ熊野や熊野に住む方々にとっても価値のある企画になればと考え中。

熊野を愛する「ふるさと住民」として、やれることを模索したいと思います。

まずは、一連のプレ企画として、熊野エヴァンジェリストのてつさんを関東にお招きする機会を設けます。2011年の4月9日に横浜、10日に東京で開催します。現地熊野での企画は5月20-22日の週末を予定しています。

関心を持たれた方、ぜひご一緒いたしましょう。