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青木将幸ファシリテーター事務所
更新: 24/04/11 Thu 11:22 am

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● 本の紹介「私の100冊」

青木将幸が、読んで感銘を受けた本を紹介します。よき本は私たちに、よき転換を促してくれるように思います。本との出会いは、人との出会いのように稀有なもの。数ある本の中から、 たまたま出会うことができた本で印象深かったものを、ゆっくり紹介してゆきます。
(2022年2
月2日現在、102冊紹介)


 


NO.102
中高生にファシリテーションを伝えたい人にオススメの1冊
13歳からのファシリテーション
著:ちょんせいこ メイツ出版


中高生にもわかるようにファシリテーションを解説した入門書。
とくにオススメは1章と2章です。
1章では中高生であるあるな会議シーンを見せて、ファシリテーションが入るとどう変化するかを予感させます。
2章のファシリテーターに必要な心がまえも、きわめて含蓄があり、よき指針となりそうです。

加えて、サイドワーカー(協力的な参加者)がいかに重要かを明記したこともこの本のよいポイントになります。

後半は、ちょんせいこさんが開発したホワイトボードミーティングⓇの説明になっていきます。
前半とちがって「読んだだけでは、ちょっとわからない」という感じになってきます。これは「何度も稽古して、体得すべし」というホワイトボードミーティングⓇ一派の哲学が反映されているともいえます。

13歳にわかる、ということは、大人が読んでもわかりやすいビジネス書ということ。中高生自身や学校の教員、親御さんに加え、難解なビジネス書は無理!という大人にもオススメの1冊です。




NO.101
●自分を整えたい人にオススメ●
みんなの楽しい修行
著:中野民夫 春秋社


最近になって、少し、文章を書いてみようという気分が高まってきました。タイトルは、「道としてのファシリテーション」。漠たるイメージはあるけれど、どう書くべきか、と考える日々。うーむ、どう書こうかな? で、そんななか、ファシリテーターの先輩である中野民夫さんの新著『みんなの楽しい修行 より納得できる人生と社会のために』(春秋社)を手にしました。

以下、読後感想文を、したためます。

中野さんの本は、これまでにいくつか読んできて、いずれも僕は「嫉妬」してきました。

なかなか難しい表現だけど、たぶんこれがあっているんだと思います。同業者としての「嫉妬」でしょうか。『ワークショップ』や『ファシリテーション革命』など初期の作品を読んだあとは、そのショックは大きく、当の本人に、そのような趣旨の手紙を書いて送ったことも覚えています。「僕自身が書くべき事を、先に書かれた!」という類の感情が、僕の中に渦巻いて、くやしくて、中野さんと一緒に何かをするのが難しくなった時間も、長くありました。


で、そういう嫉妬のような感情が、屋久島で中野さんと語り合う時間を頂いたことで、融解し、僕としてはだいぶ楽になったのが、確か2年半前。中野さんが東京の広告代理店を辞めて、京都に移り住む直前だったように思います。

思えば生意気な嫉妬心です。中野さんと僕は、年齢も一回り違うし、積んできた修行の深さも、長さも、実践における心構えも段違いに違う。あー、違う、違うんだと思って、ある種の納得を得ました。あらがっても、しかたない。僕は僕で、自分の人生を積み重ねるしかないんだ、と。それ以来、ある種の「先達」として中野さんを見るようになりました。(まぁ、それまでは、こいつには負けない!と思っていたって、ことですね。恥!)

中野さんは、京都に。僕は淡路に、それぞれ東京から拠点を移し、新しい人生が始まりました。それから2年半。

で、今の僕は、この『みんなの楽しい修行』を読んで、やっぱり「やられたなぁ」と感じています。うーん、すごい。すごいなぁ。なんでこういうのが書けるんだろう。

というか、書ける、書けないという以前に、この50年間という人生を、中野さんが、どう歩んできたかが、そのまんま滲み出ているんだな、この本は。どう、思考してきたか、それをどう表現するか、という点じゃなく、どう歩んで来たか、が大事。

若い頃にどんな旅をしたか。会社にどういう覚悟をもって入ったか。どういう先輩や師に出会って、どうやって人生を切り開いて来たか。何を思考して、どんな実践を日々やっているか。中野さんの人生が、みっちり詰まった、自伝のような一冊。一見、「楽しい修行の方法論」を書いているのかな、と思った人は、それ以上のコンテンツに驚くかもしれません。

この本には、いくつか、僕にとって印象深いシーンがあります。その一つは、会社勤めのころ、お昼ご飯を一緒に食べていた上司に「一年くらい休職でもできたら、アメリカで環境問題のこととか勉強できたらいいなって思ったりするんですよね」とつぶやくシーン。たんなるお昼ご飯の時のつぶやきを丁寧に受け止めた上司が、さらに上にかけあってくれ、話がどんどんと進んでゆく。このつぶやきをきっかけに、会社を休職し、学び直し、大きく飛躍する前後の話は、読んでいて、とても興味深いところです。うん、日本社会って、そうだよなぁと深く頷くシーンでもあります。

僕は手にして一気に2時間ほどで読みました。

が、決して、万人にとって読みやすい本、というわけでも、ありません。登場人物は多いし、引用はたくさんあるし、仏教やキリスト教や、神話や修験道、ヨガに心酔する話も次々出てきて信心深い人なんかにとっては、「うーむ、この人、いったい何を信じてるんだ?」とわかりにくい面もあるでしょう。でも、著者と志の近い、あるいは目指す世界の近い同志には、水を飲むように、空気を吸うように、ぐんぐん入ってくると、思います(僕もその一人です)。

読んでいて、本というのはいったい何のために書くんだろう?と疑問が湧いてきました。

自分と志の近い人に、うんうんと頷いて貰うのが、本の役目なのか。そこから遠い人にも「おー、そうか。そういう視点もあったのか」と思ってもらえるように書くのが、役目なのか。いや、この本は、すでにその両方をやっているのかも、しれない。 本の紹介や、引用がたくさんあります。いずれも珠のような名作です。それらの書籍を読んで見ると、なお学び深いものになるかと思います。そして、読むだけでなく、それぞれを実践し、自分の血肉にできると、ベター。それをやっているのが、中野さんのステキなところだろうな。さすがです。


ともかく、含蓄のある、学び深い一冊です。興味を持った方は、ぜひトライして下さい。

●補記:出版記念をかねて、中野民夫さんを淡路島にお迎えして、
2泊3日の「みんなの楽しい修行 in淡路島」を企画しました。
2月27日ー3月1日です。ぜひご参加下さい。



NO.100
●伝え上手になりたい方にオススメの一冊●
KP法 シンプルに伝える紙芝居プレゼンテーション
著:川嶋直 みくに出版


「人前で話すのが苦手な人は?」と聞くと、7割方の人が手をあげます。お話しを聞くと、自分の伝えたいことがまとまらない、言いたいことが上手く言えないという方も多いです。そんな方には、この本がオススメ。A4の紙とマジックがあれば、どんな大舞台でも、あなたの伝えたいことを、スムーズにお伝えできるようになります。著者は、環境教育の分野の第一人者であり青木の恩人でもあります。誰でも使える手法として、かみ砕いて紹介なさっています。



NO.99
●生きることを見つめるあなたに、オススメの一冊●
あるがままの自分を生きてゆく インディアンの教え
著:松木正 大和書房


心に染みる一冊。ネイティブアメリカンのラコタ族(スー)の人々と共に暮らし、その儀式を体験した著者が記した人生の書。私たちが、生きて行くときに、つい「他人の人生」を歩んでいることはないだろうか? 弱く、切なく、他者をコントロールしたり、強がったりしている自分を、あるがままに受け入れていくには? タフな時代に、自分の感情にフタをして邁進したり、自分自身のとまどいや本来の姿を見失いがちな私たちに、愛ある言葉が伝わってきます。他人の目を気にして生きるのは、もうイヤだなぁ、、と思った時に読むとタイムリー。



NO.98
●伝わる文章を書きたい人にオススメの一冊●
すぐできる! 伝わる文章の書き方
著:赤羽博之 日本能率協会マネジメントセンター


伝わる文章を、いかにして書くか? を追求した一冊。著書は、青木将幸の元上司である赤羽博之さん。赤羽さんは、エロ本から、エコの本まで幅広く扱ってきた編集のプロです。難しいことは何一つ書いていません。誰でも実践でき、すぐに文章に反映できる「コツ」が整えられています。ぜひ手にとって、活用してみて下さい。シンプルだけど伝わる「実用文」のレベルアップに最適です。



NO.97
●備えあれば憂いなし、と思う人にオススメの一冊●
死都日本
著:石黒耀  講談社


2011年12月8日、3.11を受けた後の、国会の災害対策特別委員会
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/002217920111208004.htm
で、言及され注目を集めた一冊。歴史的には、マグニチュード9レベルの地震の後に大規模な噴火が起きることが多いといわれている。さて、火山が噴火すると、どんなことが起きるか? これを具体的にイメージできる人は、そう多くないんじゃないかと思う。そんな時、この小説を読むのがオススメ。火山が噴火してからの24時間あまりをリアリティを持って描かれている。あまりにもスケールが大きく、かつ怖いので、「多少の備えでは、なんともならんなぁ」と唸るかもしれないけれど、日本という土地はそういう所なんだと、認識しておきたい。古事記や旧約聖書など神話レベルの話題との関連もとても勉強になる。もしかすると人生観や、教養、財産に対する認識自体が大きく変化するかもしれない。  




NO.96
●田舎暮らしを考えている人にオススメの一冊●
地球に暮らそう 〜生態系の中に生きるという選択肢〜
著:加藤大吾 旅と冒険社


ページを開いて、読み始めたら、一気に読み終えてしまった。 96ページのうすい本だが、中味はあつい。そう、この本は「うすいのに、あつい本」だ。そもそも著者である加藤大吾さんが「熱い」人間だ。都会育ちの彼が、家族で田舎にとびこみ、そこでの暮らしをモノにしてゆくプロセスは、読み手の心をゆるがす。家づくりも、田植えも、サルとの格闘もまったく初めてのトライ。それをたくましく乗り切るストーリーは、いずれも心に残る。 それから、情報の質というか,密度もかなりある。全ページカラーで写真の点数も多い。チェーンソーはどの機種がオススメかとか、何ワットの電球だと電気代が月にいくらかといった、具体的な情報が満載だ。そういう意味でもページ数より「厚い」本、とも言える。今時の書籍は、体裁ばかりよくて、中味が無いものが多いが、この本は、実のある情報に溢れている。 もうひとつ「篤い」本でもある。篤志家の篤い。こころがこもっている、と言えばいいだろうか。彼から見る社会、都会の暮らしへの考察は、暖かく、そして深い。人が生きるとはどういうことなのかを根本から問うている。都市に暮らす多くの人の、生存本能を問い直すような一冊。



NO.95
●すべてのリーダーにオススメの一冊●
「サーバント・リーダーシップ」
著:ジェームス・ハンター PHP


リーダーシップに関する本はたくさん出ているけれど、どのリーダーにも、ご一読をオススメしたい一冊にようやく出会えた。自分の思ったことを部下に無理矢理やらせるような権力的なリーダーシップの対極が、サーバント・リーダーシップといえる。このモデルでは、部下はピラミッド構造において、自分の下にいるのではない。部下が充分にその能力を発揮し、仕事に専念し、貢献できるよう「必要を見つけ、それを与える」という関わりを奨める。修道院での研修風景をベースに小説風に描かれているため、非常に読みやすく、各所に宝のような格言がちりばめられている。クリスチャンなら2倍楽しめるのではないかと推察。すでに絶版となり、貴重な一冊。



NO.94
●自分の役割を再確認できる、オススメの一冊●
「覚醒のネットワーク」 
著:上田紀行 カタツムリ社


1989年に出版されたこの本は、僕が活動してきたNGOの分野の先輩方に愛読されていた。ここにきて、ふと読み直す機会を得たが、非常に新鮮である。人はなぜ「生き生き」しなくなるのか? 「からだ」の声をきいていない現状、権威に「おすがり」する私たち。そこから究極の自立をもとめ、ひとりひとりが地球大のシャーマンになろうよ、と著者は提案する。とりわけ、著者が経験したスリランカでの「悪魔払い」の話は印象的。悪魔は「孤独な人」に憑く。だから、もう一度、孤独な人を輪に入れてゆくプロセスが必要なのだ。「悪魔払い」的な場づくりを、今こそつくってゆこう。



NO.93
●信心をみつめる上で、オススメの一冊●
「親鸞」
著:五木寛之 講談社


病気療養中の母が読み終えたので、もらった本。親子で一冊の本を共有できるのは、なかなかすばらしいこと。浄土真宗の宗祖として知られる親鸞。彼の幼少期から、いくたびも名を変えて、親鸞として成熟するまでを描く。子どものころから抱く葛藤、苦しみ、悩み。身分の低い仲間達や、不善の輩との関わり、比叡山での長い修行期間をへても、なかなかひらけてゆかない日々。ある日、師と出会い、自身の役割を見定め、辻に出てゆく親鸞。そのプロセスに常についてまわる悪の存在、自身の煩悩。「極悪人も、本当に救われるのか?」という問いに、悶絶しながらも答えを模索する小説。信心、という言葉が身に染みる。



NO.92
●仕事を磨くすべを知りたい人に、オススメの一冊●
夢をかなえるサッカーノート
著:中村俊輔 文藝春秋


サッカー選手の中村俊輔さんは、中学生のころからサッカーノートをつけている。どの試合で、どういう場面で、どういうプレーをしたか。改善点は何かを、細かく記載して、自身を成長させてきたという。そのサッカーノートを公開して、本人が語る言葉の重いこと。一流のプレーヤーの、自身を鍛えるプロセスを拝見したような貴重な一冊。とりわけ、サッカーノートを書けなかった期間のこと、自身のメンタルを鍛えるために書き綴った言葉、長期的な目標が15年近くぶれていないことに衝撃を受ける。日々の悩みを乗り越え、自分の人生を生ききるために有用なことを教えてくれる。


※僕は、中村俊輔選手に影響を受けて、仕事の後に、必ず「ファシリテーターノート」をつけるようになりました。ありがとうございました。



NO.91
●子育て中の方にオススメの一冊●
子どもが育つ魔法の言葉
PHP研究所


子どもと接するのは楽しいし、難しい。どういう言葉をかけたらいいのか、悩むことがある。やってはいけないことをしたとき、言うことをきかないとき、つい大声でどなったりしたあと「本当にこれでいいのかな」と考える。そんなときに読んでよかったのがこの一冊。優しく見守りつつも、子どもとともに考え、親としては必要なことを教えてゆきたい。冒頭の詩が、心を打つ。



NO.90
●人を育てる、を真剣に考えたい人にオススメの一冊●
丁稚のすすめ 夢を実現できる、日本伝統の働き方
著:秋山利輝 幻冬舎


丁稚という言葉を、最近あまり聞かなくなった。最近はインターンとかって口当たりのいい言葉になってたりもするが、その原型は丁稚にある。かの松下幸之助も、丁稚時代に色々と学んだようだ。著者は、オーダー家具メーカーの社長。丁稚とあらば女性であっても丸坊主にさせ、携帯電話や恋愛までも禁止するという秋山工務店の超スパルタ人材育成システムを公開する。見た目の厳しさの裏にある、秋山さんのもがき、苦しみ、努力、真剣さを読み取り、自分の人生に活かしたいと真剣に感じる一冊。「最近の若いもんは」と嘆くあたなにオススメの一冊、でもある。最近の若いもんがダメなんじゃない、育てる側の覚悟がダメなんだと痛感した次第。良薬口に苦し。



NO.89
●すべての日本人にオススメの一冊●
差別と日本人
著:野中広務、辛 淑玉  角川書店


自分は差別なんかしているつもりはないし、別に差別されてもいない、と思う人は多いんじゃないだろうか? しかし、実に、差別は私たちの真となりにある。政治家として、官房長官や自治大臣まで務めた野中広務さんと、人材育成コンサルタントの辛 淑玉さんが、命をかけて語り合う対談本。真っ向からぶつかるのかなと、思いきや。深いところでの理解と共感が起こる。涙なしには語れないことを、こうやって公けに語ってくれた2人に感謝。



NO.88
●「日本」を料理の側面からより深く理解したい人にオススメの一冊●
カウンターから日本が見える 板前文化論の冒険
著:伊藤洋一(新潮新書)


カウンターでお酒を出す国はいくらもあるが、料理人が目の前で包丁をふるっている「料理カウンター」があるのは日本だけだそうな。カウンター好きな経済評論家の伊藤さんが、なぜ料理カウンターは日本にしかないのか?を調べ上げ、これは文化だ!と論説するにいたった。読みやすく、深い。日本らしさを再認識できる良書。板前さんが真剣に材料を仕入れ、準備し、かつカウンターに座る客との即興のやりとりで場をつくっていく様に感銘。フラットでオープンで知的バトルのあるカウンターに、ぜひとも行ってみたくなる一冊。



NO.87
●大人数で会議をするときってどういうやり方があるの?を知りたい人にオススメの一冊●
決めない会議
著:香取一昭&大川恒 ビジネス社



大きな組織を変革しようとする場合、「決めてない会議」のほうがむしろうまくゆく。ワールドカフェ、オープン・スペース・テクノロジー、アプリシエイティブ・インクワイアリ、フューチャーサーチといった(カタカナばかりだなぁ)、近年注目され、各地で活用されている会議法のエッセンスを紹介している。その多くは、会議参加者が大人数でも対応できるスグレモノ。手法の詳細までは書いてないが、その骨格やエッセンスを紹介している。最近の会議はこういう流れなのね、というのを感じる一冊。



NO.86
●ワークショップを背景から理解したい人にオススメの一冊●
「ワークショップ 住民主体のまちづくりへの方法論」
木下勇・著 学芸出版社


ワークショップがブームである。もはや色々な場所で、めいめいに使われている言葉となって、その本質的な意味がゆらぎつつもある。ブームに乗って広がるとき、その便利な点やぱっと見でわかりやすいと点ばかり広まってゆくことがある。「ワークショップ? あぁ、あのポストイット貼るやつでしょ?」とった具合に。

実際に、ちまたのワークショップ本は、手軽なノウハウを教えるものが増えている。でも、この本は違う。そもそもワークショップがどのような歴史的過程で生まれてきて、どの分野でどう研鑽されてきたのかを丁寧に書き起こしている。筆者はまちづくりの分野での実践者であるが、それ以外の分野から受け継いだ魂のようなものも書き込んでいる。やや難解な部分もあるが、ブームに乗せられて動くのではなく、物事の背景をもきちんと理解したい人には、こういった良書を手にすることを奨めたい。



NO.85
●せっかく仕事をするなら楽しくしたいなぁと思う人にオススメの一冊●
『プレイフルシンキング「仕事を楽しくする思考法」』
上田信行・著 宣伝会議


どんな仕事であったとしても、それをうまくやるには、「楽しくやる」ことがひとつのカギじゃなかろうか。どうやったら人は、仕事を「楽しく」することが出来るのか? この本には、色々な人と一緒に、変化を楽しみながら仕事を展開してゆくヒントが満載。「この仕事、自分にできないかもなぁ」と考えがちな人にとっても、気持ちが楽になる一冊。著者の上田信行さんは、ワークショップ・フォーラムgでゲストをお願いしたご縁で知り合った。本人の爆裂トーク&ファンキー・ワークとはほど遠い、ゆっくり落ち着いて読める本にしあがっている。



NO.84
●活力ある組織をつくりたい人にオススメの一冊●
『私が会社を変えるんですか? AIの発想で企業活性化を引き出したリアルストーリー』
本間正人&中島崇昴・著



最近、組織コンサルティングの世界で注目されているAI(アプリシエイティブ・インクワイアリ)についての解説本。AIといっても、聞き慣れない方も多いでしょうが、ようは組織を見るときに、「課題」や「問題点」、「出来てない所」に注目するのではなく、「うまくいっている点」「メンバーの成功体験」「本質的な良さ」などに着眼して組織開発をすすめましょう、という考え方。会社を変革していく担当者の失敗あり涙ありのストーリー仕立てで、分かりやすかった。深い考えもなく、経営コンサルタントに高いコンサル料を払い続けるのは無駄ですよ〜というメッセージは特徴的。自分たちの会社なんだから、社内ファシリテーターを育てて、自社流にやって行こうよ、という姿勢は深くうなずける。企業人向けに書かれてはいるが、その他の組織に関わる人にもオススメの一冊。



NO.83
●「競争しすぎ」の世の中に疑問を持つあなたへオススメの一冊●
「びりっかすの神さま」
岡田淳 偕成社


競いものは面白い。勝ち負けがあるからこそ、燃えるもの。じゃんけんも、将棋も、サッカーも、競馬もパチンコもそうなんだと思う。ただ、競争が「すぎる」とつらくなる。お受験、過度な知育なんかは見ていてつらくなるほどだ。真央ちゃんがキムヨナに負けたってボロクソいうことないじゃないかと思ったり。
厳しい現実があるのもわかるが、ほっと一息つきたい時もある。「負けたヤツは何だっていうんだよ!」と言いたくなる時も。そんな時にオススメの一冊。児童書で小学校4年生の男の子が主人公。彼に見えたのは「びりっかす」の神さまだった…。



NO.82
●お金のよき使い道を考えたい人・企業に、オススメの一冊●
「ファンドレイジングが社会を変える」
鵜尾雅隆 三一書房


ファンドレイジング。NPOの世界では資金調達としてしられるこの用語を自分のキーワードとして温め、近年日本ファンドレイジング協会、ファンドレックスを立ち上げ注目を浴びている知人・鵜尾さんの本。ファンドレイジングを単なるお金集めではなく「社会を変えて行く手段」と位置づけ、どうすれば人や企業は気持ちよくお金を出せるのか、今のNPOに足りない認識とは何かを明示している。具体的なファンドレイジング事例も豊富で、個人的にはワコールの「ブラジャー募金」がヒット。ワコールブランドの740店舗で、ある一定期間にブラジャーを試着すると、1着につき10円が対がん協会へと寄付されるしくみ。お客さんのフトコロは痛まず、協会にはお金がゆき、企業は商品が売れる。こういったうまい仕組みをつくることで、10兆円ほどの市場が生まれるのではないかと著者は夢を語る。その夢に共感する人は世の中にまだまだ沢山いるように感じる一冊。NPO関係者はもちろん、NPOの支援や助成に関わる人間、NPOへの寄付を検討しようとしている人にも役立つ一冊。



NO.81
●下積み時代を送っているワカモノに、オススメの一冊●
「赤めだか」
立川談春 扶桑社


最近のマイブーム、落語の関連本より。談志の弟子で、「平成名人」を志す新進気鋭の落語家・談春さんの著書。「修行とは矛盾に耐えることである」という師匠の名言のもと、弟子入り・前座時代から活躍する現代までのハチャメチャな修行っぷりを描く。個人的には、なんといっても築地に修行に出されるシーンが気に入っている。築地のシューマイ屋での修行が、落語にどうつながるかを見いだしにくいなか、ふとした瞬間に店の主人がシューマイを数える仕草が目に入る。その仕草・数え方が、師匠の落語の中にそのまんま活かされていることを発見し「この修行も無駄ではない」と、精を出して出前に行く。一見関係がなさそうに見える下積みも、しっかりと積んでゆけば後々カタチになってゆくのはどこの世界も同じだ。



NO.80
●人が育つということに関心ある人にオススメの一冊●
「雨ン中の、らくだ」
立川志らく 太田出版


最近落語に関心を寄せています。落語そのものも面白いのですが、落語家がどのように育まれているのか、伝統ある芸が長年にわたってどう受け継がれ・今、新たに発展しているのか、という観点から見ると非常に興味深い。人の育て方、業界の育み方、聴衆が支える仕組みのつくり方など、落語以外の分野の我々も、落語から学べることは沢山あるんじゃないかと思っています。とりわけ立川談志率いる立川流は独特。強烈な師匠のもとに25年かけて成長してきた志らくさんの独白のような一冊。いやぁ凄い分野なんだなぁ、だから面白いんだなぁと、とにかく感銘を受けました。蛇足:人間のタイプとしては、僕は志らくさんに似ている所があるようにも感じます(いろいろ反省しつつ)。誰かに嫌われてもいい、かくありたいです。一つの道に25年、密度高く精進されてきたことに、深い敬意を持ちました。



NO.79
●そもそも会議なんてねぇ、と思う人にオススメの一冊●
「どうぶつ会議」
エーリヒ・ケストナー 岩波子どもの本


そうなんですよ、そもそも会議なんてろくなもんじゃない。
たいしてものは決まらず、本当に必要なことは話し合われず、現状や目の前の利益を保持しようとする力が働きすぎる。だから戦争もなくならないんだ。そんな状況にいてもたってもいられなくなった動物たちが、世界中から集い、一度きりの国際会議をひらくという絵本。その進め方や、結末が衝撃的。子どもが読む絵本としてはちょっと難しいが、むしろ大人が会議を始める前に、一度は目を通しておきたい。地球温暖化防止の国際会議に政府専用ジェット機で集まってくるような人たちには、全員に配布して読んでいただきたい必読書。僕たちが、そもそも何を大切に生きて行くべきかを考えさせられる不朽の名作。



NO.78
●ワカモノの現状を知る上でオススメの一冊●
『「生きる」ために反撃するぞ 労働&生存で困った時のバイブル』
筑摩書房 雨宮処凛


最近の若いものは何をやっているんだ? と思っていたところ、やはりニート、フリーター、ネットカフェ難民といった「従来の仕事のしかた」とは違う道を歩んでいる青年層のことが気になって読んでみました。とても分かりやすく、刺激的。日本の各地で青年や外国人労働者に対して労働を通じてこんなひどい仕打ちがされているとは、恥ずかしながら自分は無知でした。そして、インディーズ系労組・ユニオンの方々のすばらしい活躍も目を見張るものがあります。こういう仕事は賞賛されるべし。
若者は社会にハメられているんだ!ということを痛感させられる優れた一冊。人を雇っている人、これから就職を考えている人、お金がなくて苦しい思いをしている人すべてに、ご一読いただきたい。


NO.77
●ワークショップに関わる人にオススメの一冊●
「参加型ワークショップ入門」
 著:ロバート・チェンバース 明石書店


チェンバースとの対話は楽しい。といっても本人にあったことはないが、この本はまるで彼が語りかけているかのように書かれている。冗談やウィットに富んだ表現、数限りなくあげられる失敗談は「あるある」とうなづけるものが多い。自分を決して権威づけず、これが正しいのだと押しつけず、いろいろな心配りがある名著。初めて読んだときはこの本の良さがわからなかった。それから5年たって、きちんと読み返してみたところ、こんなに面白いワークショップの本はないんじゃないかと思い始めている。ワークショップに関わる人にオススメの一冊。



NO.76
●自分を高めたい人にオススメの一冊●
「イギリス流 大人の気骨」
著:スマイルズ 訳:山本史郎


神は自ら助くものを助ける。という言葉ではじめる歴史的名著「自助論」。そのエッセンス版が本書。フルバージョンを読んではいないが、このエッセンス版からもたくさんのことを学ぶことができる。「成功する秘訣は小さな物事をしっかり観察することにあります」「できる人とは、適性と研究と修練の3つが必要である」「ゆっくり歩む者が長く遠くまで行ける」「客に奉仕しなさい。最後はきっと損をしないから」など、この本から学んだことは多く、日々実践したいことのリストに加えて過不足がない。こういうのを名著というのだと思う。



NO.75
●場が読めるようになりたい人にオススメの一冊●
「察知力」
著:中村俊輔


サッカーで世界的な活躍を見せている中村俊輔選手。彼がいったいどんな本を書くのか、興味があった。オシムさんの書いた本を読んでとても得ることが多かったので、サッカー選手はいろいろな意味で洞察の深い人が多いかもと期待して読んだ。察知力とは、周りが自分に何を期待してるのかをいち早く察知する力。自分の動き方、身の処し方、段取り、手配がこれで変わってくる。中村選手はこれを単なる処世術とするのではなく、「思いやり」のひとつだとも書く。時代は変わる、一緒に仕事をする仲間も変わる、自分自身も変化する。そんななか、自分がなすべきことを察知し、周りにあわせ、同時に自分ならではのペースを生み出して行くためにすべきことが描かれている。



NO.74
●人間関係をよくしたい時にオススメの一冊●
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』
アービンジャー・インスティチュード著


胸に手を当てて考えてみると身に覚えがある。自己欺瞞、自分への裏切り、他人を責める、自分を正当化する、これは自分の性格なんだと自分に言い聞かせる、、、人間関係を根本的に悪くしているのは実は自分自身だったということを強くメッセージする一冊。読んでいてドキドキしたり、ぐさっときたりするが、基本的には楽しくフェアに生きられそうな気持ちになる。他者をどのような存在として見ているか=人間観が重要なポイントということだろうか。



NO.73
●もろもろ誤解を生みそうなのがちょっと問題な一冊●
「偽善エコロジー」
著:武田邦彦(幻冬舎新書)


牛乳パックのリサイクルや、マイ箸は無駄だ、CO2削減をしても温暖化は止まらない!と言い切り、注目されている一冊。友人宅に泊まったときに、本棚にあったので読んでみた。内容的には、筆者の基本主張「よけいなものを買わないことが一番エコロジー」「リサイクルより、ものを大切に使うのが大事」「環境という冠をつけて、儲けようとするへんな商売が横行している」「国内の農業・林業を大切にして自然の成長の範囲内での利用を」というあたりは理解できる。が、「牛乳パックのリサイクルは紙全体にしめる割合が低いから無駄」など、極論的になりすぎる傾向があるのが残念。よく読めば分かるが、本人の思いこみで無駄だと判定しているところは多い。一般の人に売れているだけに、もろもろ誤解を生みそうなのがちょっと問題な一冊。どんな本でもそうだが、うのみにせずに批判的に読みたい


NO.72
●出来る奴ってけっこう口が悪いよな、と思ったときに読む一冊●
「悪口の技術」
著:ビートたけし(新潮社)


たけし曰く、今の日本人に足らないのは、「悪口の技術」だとさ。
悪口の技術を10に整理し(たけしらしくもなく?)、これを実演するがごとく、あるテーマに基づいて一流の悪口を延々と垂れてゆく。読んで役に立つようなものでもないが、人生の肥やしになること間違いない。生き方、働き方、楽しみ方の断片が詰まっている。
この人の本を読んだのはこれが初めて。流れる口調のままの読みやすい一冊。



NO.71
●健康でいたい人にオススメの一冊●
「養生の実技 -つよいカラダではなく-」
著:五木寛之(角川書店)



忙しいと自分のカラダとの対話がおろそかになる。僕の場合だと、軽く咳が出てきたり、目が真っ赤になったり、足の裏を押すと痛い箇所が出てきたりする。カラダが何かをうったえているのだと思う。そんなカラダのサインを著者の五木寛之さんは「身体語」と呼んでいる。カラダが萎えたり、屈したりするとき、病院で治療を求めるのではなく、自分自身と対話し、自分流の養生をすることの大切さを説いた貴重な一冊。五木さんは、重いものを持つときに、カラダに「いいかい?」と聞いてから持ち上げるそうな。さすがです。


NO.70
●忙しくて自分を見失いそうなとき、オススメの一冊●
「桜の樹が教えてくれた いのちを生きるということ」
著:スーザン・オズボーン(サンマーク出版)



どうしょうもなく、消耗し、むなしいとき、自分自身が無価値な存在に思えてくる。54才という歳を迎え、疲れ果てて家に帰った歌手・スーザン・オズボーンを迎えたのは、季節はずれに咲いた一本の桜であった。秋咲きの桜? そんなはずはない。それとも、狂い咲き? いや、それにしては長すぎる。6ヶ月もの間咲き続けた桜の奇跡から、あたたかい希望と自分自身への敬意を取り戻す写真物語。ちょっと疲れた人にオススメの一冊。



NO.69
●空想好きな人にオススメの1冊●
「かぼちゃ人類学入門」
作:川原田徹(福音館)



かぼちゃ島にすむかぼちゃ人の物語。のろまで、とんまなかぼちゃ人の暮らし、政治、経済、繁栄と公害、エネルギーの自給、福祉、教育などについて、包括的に、ほのぼのと描かれている。これこそまさに持続可能な社会のモデルではないかとも思う。なんといってもかぼちゃ人の世界観がおかしい。人生とは何か、幸せとは何か、社会とは何かを問いかける名作。ふと、かぼちゃ島に引っ越したくなる。



NO.68
●子どもや子育てに関心をもった人にオススメの一冊●
「ママのおなかをえらんできたよ」
著:池上明(二見書房)



自分の子どもを授かってまもなく1年が経とうとしている。この間にいろんな試練と学びがあった。なぜこの子は私たち両親のもとに生まれてきたのか、どうやって子どもが親を選んできたのか、について、なんとなーくわかる胎内記憶についての1冊。たとえばこんな胎内記憶。
「ぼくがおとうさんとおかあさんをえらんだ。知らないおじさんと空中に浮いていたら家の中から笑い声が聞こえてきて、そのおじさんがこの家でいいかと聞いたので、ぼくはいいですってこたえた。」(やまだやすおくん/3才)とか見ると、にっこりできる。



NO.67
●教育に関わるすべての人にオススメの一冊●
「教えることの復権」
著:大村はま他(ちくま新書)



参加型・体験型の学習が流行るなか、体験をさせっぱなしにていないか? 体験すること、感じることを重視するばかりに、「教えること」をネガティブにとらえすぎ、それ放棄してしまっていないか。戦後の混乱から一貫して、中学校の国語の授業で参加型・体験型の単元学習を実践してきた大村さんとその教え子が描く、教育論。我々が、どこまで本気で教育に向かってゆけるのか、その態度が問われている。環境教育をはじめ、教育に携わるすべての人にオススメしたい。

NO.66
●生と死について考えたい人にオススメの一冊●
「生命尽くして 生と死のワークショップ」
著:キューブラー・ロス(産業図書)



死を目前に控えた人、ホスピスなど業務で死にたずさわる人が参加した伝説のワークショップ。筆者はこの5日間のワークショップを何百回と実施してきた。死と向き合うことは生と向き合うこと。本気で、その瞬間を生きるということ。心して人生を生きる覚悟を得られる一冊。



NO.65
●全日本人(とくに男性)にオススメの一冊●
「女に選ばれる男たち」
著:安積遊歩・辛淑玉(太郎次郎社)



いや、やっぱり、こういう本が必要ですよ。
自分の心にしっかりとケリを入れてくれるというか、喝破してもらえる本が、今の僕と、今の日本には必要。
最近、女と男の対等な関係はどう築けるのか、みたいなことを一緒に考えている仲間からオススメされた一冊。読んでいて心地よいと感じるか、居心地が悪いと感じるかはあなたしだい。ともかくも、この本1冊程度を最後まで読めないようでは「男の沽券」に関わるから、心して一気に完読しよう。そのうえで、心を落ち着けて、ふたたびじっくり熟読するのが吉。
いずれにせよ、政治や社会や起業やCSRやら、ファシリテーションやら、まちづくりやらパートナーとの幸せな関係づくりに興味のある人間なら、必ず一度は読んでおくべし。
個人的には全日本人男性の必読教科書に認定したい、超オススメの一冊。



NO.64
●クジラについて考えたい人にオススメの一冊●
「日本はなぜ世界で一番クジラを殺すのか」
著:星川淳(幻冬舎)



捕鯨問題にふたたび注目したい。クジラといえばグリンピース。その事務局長が書いた一冊。「クジラは哺乳類だから殺すのは可哀相だ」「クジラを食べるのは日本固有の文化である」「増えているクジラもあるから食べてもいいはず」「クジラを食べないと魚が減ってしまう」「IWCで票をかきあつめるためには、上手にODAでの援助をちらつかせてもよい」 さて、あなたが共感できる主張はどれ? 以外と知らないクジラ問題を、分かりやすく伝える一冊。もうすこし科学的説得力があるとよかったが、、、。クジラ観が深まってゆく、オススメの一冊。



NO.63
●「フェミニストって、何考えてるの?」と思ったときにオススメの一冊●
「東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」
著:遙洋子(筑摩書房)



上野千鶴子さんをご存知だろうか? フェミニズムの第一人者で、東大の肝っ玉教授だ。かつて国分寺市で開催されかかっていた上野さんの講演会を、東京都の教育庁が水面下で圧力をかけ、講師変更を促した言論弾圧事件があったが、それほどまでにマークされている人物がどんな人なのか、とても関心があった。この本は、その上野さんについて、東大で3年間ほど学んだタレント・遙洋子さんの体験エッセー。とても読みやすく、親しみやすい1冊。温かくも、厳しく、怖く、かつ、ある一面では少女のような上野千鶴子さんが描かれている。一見、難しそうな「学問」のことや、大学でのゼミの風景、ジェンダー、フェミニズム、社会学、女に対する抑圧、研究者の思考回路、テレビの裏側などについても自然に学べてしまう。「フェミニズム」と聞いただけで、「ケッ!」と思って、顔を

そむけたくなる男性でも、きっと楽しく読めるオススメの一冊。



NO.62
●「関西弁に触れたい」と思ったときにオススメの一冊●
「独立開業マニュアル 〜これだけは知っといてや〜」
著:辻井啓作(岩波アクティブ新書)



世の中に独立開業のために書かれた書籍はたくさんあるが、やたら役所の書留説明的だったり、難しいマネジメント理論だったりして、意外と役に立たない。そんななか、これが一番実用的なことを書いてあるのでオススメ。 しかも、文章はすべて関西弁。たとえばこんな感じです。
「ひとりの事務所のコピー機はいらんで。事務所を持ったらまず欲しくなるのがコピー機や。けどこれはホンマにカネ食うで。ワシもようわからんのやけど、カウンター契約ちゅうのがあって、コピー1枚あたり七円とかとられるみたいや。なんか納得でけんけど、世の中はそうなってるみたいやで。」
ずっとこの口調で、届け出や、雇用、法人化、人脈づくり、事務所を構えるところまで持論をえんえんとしゃべらはる。一気に読める楽しい一冊。必要なことを、はっきり言われてすがすがしい気持ちになります。



NO.61
●「あぁ、南の島に行きたい」と思ったときにオススメの一冊●
「石垣島・白保 サンゴの海」
著:小橋川共男、目崎茂和(高文研)



世界的に有名な白保のサンゴ。その魅力と、海と暮らす人々の姿が数百枚の写真で語られている。見ていてため息がでるような一冊。実はこの白保地域に石垣新空港をつくる計画があったそうな。地元の方々や海を愛する人、WWFなどのいろいろな運動の結果、その予定地は移動して別な場所になったそうだが、そこにつくったとしても赤土流出や希少動物のすみかを壊すなどの問題が指摘されている。都会に住む人は気軽に、「南の島に行きたーい!」と思うものだが、その飛行機が降り立つ場所からして、いろいろな課題があるものだ。なにをするにせよ、裏側を少し学んで、現地で生活している方々や、様々な生物へのリスペクトを忘れないようにしたいと思った一冊でした。



NO.60
●「いったい何のためにこんな政策があるの?」と疑問に思ったときにオススメの一冊●
「当事者主権」
著:中西正司・上野千鶴子(岩波新書)



専門家はいつもこう言う。
「あなたがたのことは、私どもが一番よくわかっているから、わるいようにしないから、ああしなさい、こうしなさい」と。子どもにとっての親、患者にとっての医者、障害者にとっての施設職員などがそうだ。しかし、本来のところは当事者こそが、一番自分のこと=ニーズがよく分かっているのではないか? そんな考え方を持ち「自分のことは自分で決める」をモットーに、障害者自身の自己決定を促し、障害者が仕事として、他の障害者をサポートし、障害者自身がしっかりと他者を雇用する事業体=自立生活センターをつくりあげてきた中西さんの熱い思いが心に響く。はっきりいって名著である。こういう視点で日本中の政策を見直したいと思う、すばらしい一冊。



NO.59
●孤独になったとき、オススメの一冊●
「子どもが孤独でいる時間」
エリーズ・ボールデイング著 こぐま社



なにかと否定的にとらえられがちな「孤独」であるが、実はたったひとりで静かに過ごす時間が子どもの内的な成長には必要不可欠であることを、短いストーリーで綴った名作。とくに、暖炉の前で毎朝毎晩1時間づつ、神の御声を聞いてすごすおじいちゃんのそばに、そっと子どもが寄り添って耳を澄ますストーリーは印象深い。著者曰く「わたしたちは、だれでも、自分が子どものころ、ひとりでいるときに感じた喜びの記憶を、心の奥深くに、大切にしまっているのではないでしょうか。」とのこと。心静かに読みたい一冊。



NO.58
●上司との関係性に疲れた時にオススメの一冊●
「難儀でござる」
岩井三四二 光文社



信長、家康、武田信玄など戦国時代の名将に仕えた人たちの物語。「主に仕えるということは大変だ」というセリフが何度となく出てくる。なかなか引退しない頑固な老戦士の父親、無理な籠城を続ける城主、ささいなことでキレまくる殿様、怖い信長にひょうひょうと逆らって寺を焼かれてしまう住職など、大変な上司につかえることの気苦労や、「はぁー・・・」というため息を描いた歴史短編集。はっきりいって、面白い。すばらしい一品。呼んでいて爽快になるし、彼らと一杯呑みたくなる。



NO.57
●男女間のすれちがいを感じたら、オススメの一冊●
「もしも男に言葉があったら」
サミュエルシェム&ジャネットサリー (著)



原題は「We have to talk」。もしも近しいパートナーの女性に「ねぇ、話したいことがあるの」と言われたら、どう思うだろうか? 世の男性のなかには、それだけで、なにか、ぞくっとしたり、ひやっとするかもしれません。男と女の人間関係の持ち方の違いについて、何百回ものワークショップを経て分かったことについて、わかりやすく書いている素晴らしい本です。「どうして、男は黙っているの?」「どうして女は、パーティーなどのわかれ際に長く時間をすごすの?」という普段感じている疑問が、氷が溶けるように分かり合えてゆく感じがします。男女間でこういうワークショップがあれば、家庭内暴力とか離婚とかは減ってゆくだろうなぁと思う傑作。



NO.56
●団体やチームのリーダーにオススメの一冊●
「共感のマネジメント」
〜市民活動団体のスタッフ、グループリーダーのための入門書〜
松本 修一 著 大阪ボランティア協会



「私はリーダーに向かない」と思っている人は多い。そんな人でも、ひょんなことで、長のつく役割が回ってくることがある。どうしたらいいんだろう? そう思ったときはこの本を読んでみてください。NPOのマネジメントについては、ドラッカーをはじめ難しい本はたくさんありますが、あまりに難しいと読めないし、実践もしにくいものです。その点、この本はとてもわかりやすい文体で、団体の運営の仕方、目標の立て方、役割分担のポイント、次のリーダーの育て方などを豊富なイラストを交えて紹介しています。僕もこういうシンプルな本を書きたいです。



NO.55
●サッカーファンならずともオススメの一冊●
「オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える」
木村元彦 著 集英社



サッカーの日本代表監督になったイビツァ・オシム。背が高くてがっしりしたおじいちゃん。彼の発言や語録が面白い、とは聞いていたが、この本を読んで、僕はうなった。うーん、すごい。この人には、深い歴史と哲学がある。サッカーは誰のために、何のためにあるのか、というのを考え抜いている。そして、自分の発した言葉がどのように受け取られるかを考え、慎重かつ、お茶目に言葉を選んでいる。
オシムは、ユーゴスラビアが分裂する前の最後の代表監督だったそうな。戦時中・紛争中に様々な民族対立や、メディアからのプレッシャーに耐えながらも、適切に、選手に愛と言葉を送りつづけながら、指揮を執り続けた姿には感銘を受けた。こりゃ、すごい人だ。僕はこういう人が大好きです。ぜひ読んでください。



NO.54
●立国構造を考える上で、オススメの一冊●
「芸術立国論」
平田オリザ 著 集英社文庫



「立国構造を考える時期に来ている」 僕が環境問題や社会問題に関心をもってから、気づいたことがある。それは、いろいろな問題の根本原因は、この国の立国構造にある、ということだ。国がどうやって成り立ってゆくのか、という構造そのものを作り直さないと、色々な問題は解決していかない。日本の林業が上手くいかないのも、日本中の河川がコンクリートで固められるのも、なかなか地球温暖化防止が上手くいかないのも、根本的には、今の立国構造に原因がある。

じゃあ、おまえはどんな新しい立国構造を提案できるのか?と問われると、僕の中でもまだ固まっていない。そんななか、劇作家の平田オリザさんのこの本に出会った。

平田さんは、芸術を医療・福祉・教育にならんで重要な公共性を持つモノといちづけ、日本を芸術産業が起きてゆくような国にすべきであると考えている。その考えを実践するために日本各地で参加型演劇のワークショップを展開したり、アートマネジメントができる人材の育成も手がけている。

演劇や芸術のことは不慣れな僕だけど、この本にはとても説得力がある。つい、彼の劇団の賛助会員になってしまったほどの一冊。

専門書ではなく、読みやすい言葉づかいの政策提言書としても優れていると僕は思う。

いつか平田オリザさんと一緒にワークショップがしたい。



NO.53
●ファシリテーターのあり方を考える上で、オススメの一冊●
「鋼鉄のシャッター」
パトリック・ライス著 コスモスライブラリー


衝撃の一冊。僕が敬愛している橋本久仁彦さん(クニちゃん)から教えてもらった。北アイルランド紛争のなかで、お互いに憎しみあう存在になってしまったカソリックから4人、プロテスタントから5人の参加者を招き、エンカウンターグループを実施した記録である。僕もエンカウンターグループがどういうものか、まだ体感していないのでわからないが、「建前」や「立場」の話し合いではなく、人間としての対話、不意な出会いのある、話し合いの場である。それを進行したのが、カール・ロジャースと、パトリック・ライス。お互いに憎しみ会った存在が、ある瞬間に同調するシーンが見られる。
ファシリテーターとして、職を得ている人間として、いつかはこういう仕事がしたい。本当に憎しみあったり、傷つけ合ってしまっている場面において、役に立つ存在でありたい。自分自身が、どう生きて行くのか?を考えさせられた深みのある一冊。



NO.52
●ファシリテーションに関心ある人にも、オススメの一冊●
「DV被害者支援ハンドブック」
尾崎礼子著 朱鷺書房


DV=ドメスティック・バイオレンスという言葉になじみがあるだろうか? 夫婦や恋人の間でふるわれる身体的、精神的な暴力のことだ。「今どき、自分のパートナーに暴力をふるう人なんて、そうそういないだろう」と僕は思っていたけれど、実はそうでもない。2000年2月に実施された総理府の全国調査によると、女性の4.6%、およそ20人に1人が「命の危険を感じる暴行を受けている」という報告がなされているから、びっくりだ。20人に一人ということは、うちのマンションにいても不思議ではない。この本は、DVの被害者を、支援する人のための専門書だ。アメリカ的で、マニュアル的で、超専門的な本だけれど、とても大切なことが書いてある。例えば被害者の妻や母親としての態度を責めない。「あなたが、母親としての仕事をしっかりしてないから彼がなぐるんじゃないの?」という心ない発言が、二次被害を生む、などと書いてある。ファシリテーションやコーチングなどのスキル習得が流行しているが、そのスキルを、本当に苦しんでいる隣人や友人のために活用しようという人はどれだけいるのだろうか? そんなことを考えさせられた、すばらしい一冊。



NO.51
●書く力をつけたい人に、オススメの一冊●
『「書く」マーケティング』
堀内伸浩著 明日香出版社


僕は具体的な本が好きだ。「文章の書き方」みたいな本はたくさん読んできたが、ここまで具体的に「売ること」に専念した「書き方」の本はない。せっかくよい商品をつくっても、売れなければしょうがない。せっかく面白いイベントを企画しても、人が集まらなきゃしょうがない。そんな経験したことありませんか? 魅力ある広報文づくりは、誰しも悩むもの。そんなときは、この本を読んでください。無味乾燥な広報文をやめて、読む人の共感と行動を生む躍動感のある広報文をつくりましょう。



NO.50
●理屈が好きなにオススメの一冊●
「野村ノート」
野村克也著 小学館


いやぁ、面白かった。僕は野球はやっても下手くそなのだが、野球観戦が好きだ。阪神タイガースのファンで、阪神戦をやっていると必ず見ている(東京ではほとんどやってないが)。野村監督は3年間阪神の監督をやったが、ずっと最下位だった。でも、次の星野監督になって優勝した。通常、星野さんの優秀さが目につくところだが、星野さんは、「野村さんが基礎をつくったからだ」といったようなことを言っていた。

そこで気になって野村さんの本を読みたいと思った。これが面白い!

自分なりに野球の理屈を考え、「野球は心理戦」として徹底的に分析している。一昔前の人が持っている「血のにじむ努力に基づく自分なりの分析と信念」みたいなものを感じられる。清原や阿部慎之助のことをぼろくそに言う口の悪さはあるが、そのなかにも愛嬌が感じられる。僕は完全に野村ファンになってしまった。そんな一冊。

普通の組織論、リーダーシップ論、人生論としても面白い。



NO.49
●日本の良さを見つめ直したい人にオススメの一冊●
「がんばっている日本を世界はまだ知らない」
枝廣淳子+ジャパン・フォー・サステナビリティ 著 海像社


環境問題や社会問題に関わっていると、つい外国に目がゆく。スウェーデンはすごい、ドイツは進んでいる、アメリカではこうだ、などなど。もちろん外国の素晴らしいところもあるが、日本もけっこうやっていたりする。意外と持続可能な社会に向けた先駆的な取り組みや世界に発信すべき事例が日本にある。また、日本の古来の生き方や考え方、里山での暮らしなどはもう一度見直す価値がたくさんある。そんな事例を英語に翻訳し、世界に発信しているJFSの力作。世界中から「日本にこんな事例があるなんて!」と驚きのメールがたくさんきているようだ。

この本には、続編もあります



NO.48
●会議上手になりたい人にオススメの一冊●
「すごい会議 短時間で会社が劇的に変わる!」
大橋禅太 著 大和書房


会議関連の本の決定版としてオススメ。これまで読んだなかでも、スピード感、わかりやすさともにある最高の一冊。(僕が書いている連載の文章だと、こまかな手法論とかが多すぎて全体像がつかみにくいのも反省した)。僕もある側面では、こういう会議を目指している。ぜひこの手法で会議をしてみたい!と思わせる魅力ある一冊。
前半2章は著者のビジネス体験を書いているので、「自慢話みたいでいやだ」と評価した知り合いもいたが、僕はこういうハチャメチャな人生を送っている人が好きなので、それなりに面白かった。



NO.47
●アイデア豊富な人になりたい人にオススメの一冊●
「考具/考えるための道具持っていますか?」
加藤昌治 著 TBSブリタニカ


アイデアを出し、企画をつくってゆくための「考える道具」をわかりやすく紹介している。ブレーンストーミング、マインドマップなど僕にもなじみのある手法が21個紹介されている。なんといっても紹介が分かりやすいし、「じゃぁやってみようか」という気持ちになる一冊。ここまで分かりやすいと売れるのも納得。マンダラアートという手法が目新しかったので、ぜひ活用したいと思った。



NO.46
●学校教育について考えている人へオススメの一冊●
「レモンさんのPTA爆談」
山本シュウ著 小学館


最近、学校教育のことについて考えるようになった。よい社会をつくるためには、よい教育をすることが必要不可欠だ。なかでも、学校教育は重要な位置を占めている(にも関わらず、よく分からないことが多い)。
この本は、ラジオDJとして知られる山本シュウさんが体当たりでPTA改革に乗り出していった体験談だ。涙あり、怒りあり、突拍子もないアイディアあり、と面白い一冊。運動会を音響抜群にして楽しくしたり、PTAの会議を熱く紛糾させたりしている。丁寧なことに、《PTA役員のための挨拶の極意》という付録までついている(これが相当に役に立つ)。学校の先生に文句を言ったり、逆に頼ってばかりにしないで、大人が本気で後ろ姿を見せてゆく道があるのだと伝えている。読むと勇気が出る、素晴らしい本だ。



NO.45
●持続可能な社会の先駆者から学びたい人のための一冊●
北欧のエネルギーデモクラシー
飯田哲也著 新評論


僕が北欧のことを学んだ1冊目。風力発電の国デンマークと、国民投票で原発を撤廃することを決議したスウェーデンという北欧2国に注目している。世界が注目した「化石燃料ゼロ宣言!」をしたスウェーデンのベクショー市、持続可能な社会になることを宣言したゴッドランドをはじめとする島々の紹介、両国のエネルギー政策の未来像などを詳細に報告している。この2国がどういうプロセスを経て、エネルギーデモクラシーを起こしていったかを解説している力作。すばらしいです。



NO.44
●持続可能な社会の先駆者から学びたい人のための一冊●
エネルギーと私たちの社会 デンマークに学ぶ成熟社会
ヨアン・ノルゴー べンテ・L.クリステンセン 著 飯田哲也 訳 新評論 


デンマークにおいて、20年前に書かれた歴史的な一冊。デンマーク社会に大きな選択をせまった本として知られている。「私たちは、高エネルギー社会にすみたいのか、低エネルギー社会にすみたいのか」という根本的な問いを、中学生にも田舎の農家のおいちゃんにもわかる言葉で問いかけた歴史的一冊。飯田哲也さんが強く影響を受けて、日本語に翻訳なさった。日本は、いまこそこの本を読むべきタイミングにあると強く感じる。



NO.43
●持続可能な社会の先駆者から学びたい人のための一冊●
生のための学校 デンマークで生まれたフリースクール
「フォルケホイスコーレ」の世界

 清水満編著 新評論



デンマークが環境国家にシフトしていった原点は、そもそも、民衆のための民衆による教育の場=フォルケホイスコーレにあると思う。例えば、そこで原発や環境問題の議論をしていくなかで、風力発電への本格的な取り組みが出てきたそうな。この本には、ディスカッションを通じた自由な教育プロセスについて書いてある。共に暮らし、共に学ぶ教育スタイルの実践例として、民衆の学校・フォルケホイスコーレの歴史に注目したい。それは、どんな年齢になっても、また学びたいと思えば学べる空間。単位や資格はいっさい与えず、成績もつけない「生のための学校」なのだ。



NO.42
●持続可能な社会の先駆者から学びたい人のための一冊●
北欧スタイル快適エコ生活のすすめ
−森の精ムッレに出逢ったスウェーデンの人々のビジョンとは−

 高見幸子著 鏑木孝昭著 オーエス出版



北欧的エコ生活を紹介した1冊。スウェーデンの人がどうやって環境教育を受け、どうやってエコ生活を快適にしているかを伝えている。日本の「あれはだめ、これはダメ」的環境キャンペーンが窮屈であったり、日本企業の場当たり的な環境対策では実際の改善が起きないと、厳しく指摘している。北欧流環境対策・環境教育の根本的な思考や、環境問題の入門的な捉え方を解説する1冊。



NO.41
●社会を根本から見つめ直す人にお勧めの一冊●
ガンジー・自立の思想—自分の手で紡ぐ未来
 M・K・ガンジー著 地湧社



ガンジーの考えをインタビュー形式でわかりやすく伝えてくれた素晴らしい本だった。ガンジーが、なぜ国産品を買う運動「スワデシ」をしたのか、なぜ自分たちの衣類を自分たちでつむぐことを提唱したのかがよくわかる。ガンジーは、貧困は、機械で大量生産をしてもなくならないと指摘している。身の回りの物を自分たちの手でつくることが根本的な社会変革なのだ。
熱く語りかけるガンジーの運動スタイルや、運動の失敗を直視する姿勢などにも心が打たれた。「なんだか偉い人」としてとらえていたガンジーについて、具体的なイメージが湧いた素晴らしい一冊。



NO.40
●地球の生きるすべて人にお勧めの一冊●
ウォールデン 森の生活
 ヘンリー・D・ソロー・著 今泉吉晴・訳 小学館



今から150年前、近代化し混迷しつつある社会<アメリカ>と、人間の生き方を見つめ直すために森での生活をした人がいる。当時27歳であったヘンリー・D・ソローだ。ソローは2年と2ヶ月の森での生活で、自分の家をたて、自分の畑を耕し、散歩をし、古典を読み、社会を観察した。そこでの観察と実践の記録がこの本だ。明治時代から日本語の訳されること18回。こんなにも色々な人に訳された本もないのではないか! というのも詩的な表現が多く、日本語で理解するのが困難なため、多くの人が手には取るが「誰もが途中で挫折する名著」であったのだ。
そこで、昨年、動物学者の今泉さんがとても分かりやすく翻訳した。僕にもするする読めた。何度も何度も繰り返しよみ、6ページにわたってノートに金言を書き写したほどの一冊。
これからの社会と人間をじっくりと見つめ直すには最適の一冊。
あまりの感銘を受け、2月17日に、エコのもりセミナーというプロジェクトの一環で、ソローに関するシンポジウムを開催するまでにいたっている。その名も「持続可能な社会は森の生活から」というもの。



NO.39
●NPOリーダーを志す人にお勧めの一冊●
リーダーのあなたに贈る 実戦!NPOマネジメント
田中尚樹・著 学陽書房



NPOの運営に関する本が増えている。ピントのはずれたものや、法人設立の手続きのみに特化したもの、実戦活動をしていないのにさもわかったように書かれたものなど、玉石混淆でハズレ本も多くある。そんななか、読みやすく、しっかりとした本に出会えた。著者は福祉や子ども劇場などの分野で活動してきたNPO界のリーダー。「みんなで仲良く」よりむしろ「腹をくくって、しっかりと」団体を運営したい人にはオススメの一冊。NPOにまつわる常識をくつがえし、NPOの本質的な事業のつくりかた、NPO流のマーケティングの考え方、リーダーがもっていたい心などを、読みやすく書いてある秀れた一冊といえる。



NO.38
●企画力を高めたい、と思う人へオススメの一冊●
企画力 ー共感の物語を伝える技術と心得ー
田坂広志・著 ダイヤモンド社



「企画のつくり方、企画書の書き方でよい本はありませんか?」という問い合わせに対して、なかなかよい答えがなかった。どの本も、企画書の体裁の整え方や、表面的な整理の仕方、一般的な手順に終始していて面白くない。企画の本質とか、企画書の本分や、本当の意味での心得が描かれていなくて、もどかしい思いだった。僕自身、企画に関する本「森林環境教育プランニング事例集」を書いてみた経験はあるが、本当の意味でのミソやコツが描けているかというとまだまだ不十分。
そんななか、素晴らしい一冊と出会った。著者は日本総研や社会起業家フォーラムの設立に関わったシンクタンク系の人だ。スムーズに読める、言葉に重みがある、腹を据えて企画をつくってみようと思える貴重な一冊。ずばりと言い切る文体が心地よく体に響く。



NO.37
●会社やNPOを作りたいが、今の仕事はやめるのはちょっと、
と思う人へオススメの一冊●
『週末起業』
藤井孝一・著 ちくま新書



僕がこの本を知ったのはNPOマネジメントという雑誌に紹介されていたからだ。僕が尊敬する加藤哲夫さんという人が書いている文章のなかで、NPOを立ち上げようとする人と、NPO活動がなかなか広がらない人の両方にオススメする一冊だとあった。
読んでみるとまさにそのとおり。今、公務員や会社員をやっていていたとしても、無理にその勤め先をやめなくてもNPOの立ち上げや、起業には携われるんだという勇気が沸いてくる。文体は読みやすく、多くの失敗例と成功例に富んでいる。事業を展開してゆくうえでのインターネットの使い方や、文章の書き方まで参考になる。
僕はよく「どうやってファシリテーターとして独立できたんですか?」という質問を受けるが、これまではうまく答えられないでいた。が、この本を読んでわかった。僕が独立してきたプロセスは、ここに書いてある週末起業のプロセスなんだと。会社員でありながら、自分のやりたいことを事業として育ててゆこうとしてきた日々がありありとよみがえって。
職場に一生縛られるのではないカタチで、自分の夢ある事業実現を叶えたい人を応援する、すばらしい一冊。



NO.36
●モノや社会のデザインを考えるときにオススメの一冊●
誰のためのデザイン? 〜認知科学者のデザイン原論
 D.A.ノーマン著 新曜社



本来は引くべきドアを、間違って押してしまい、開かなかったことはあるだろうか? 電話の取り次ぎをするときに「保留」をしないといけないのに、回線を切断してしまったことはないだろうか? こういう日常的なミスを犯すと、人は「私が悪いんだ。私はこういうのは苦手なんだ」と自分を悪くするくせがあるとのこと。しかしこの本を読むと、それは利用者が悪いのではなく、その製品のデザインが悪いのだということに気づく。製品をつくった言い分としては「マニュアルを読めば書いてある」というが、たいていの人はマニュアルなんて読まないし、仮に読んでもわかりにくいマニュアルが多いものだ。よいデザインというものはマニュアルなどなくても、その利用方法が分かるように作ってあるものである。
いったい、モノは誰のためにつくるのか? 利用者の立場にたって想定したモノづくりや、コンピュータづくりや、社会づくりがいかに重要かを痛感する重厚な一冊。
企画をする人、政策をつくる人、WEBサイトをつくる人、デザインをする人などは必読の一冊だと思います。



NO.35
●勇気をわかせたいとき、オススメの1冊●
たった一人が世界を変える
轡田 隆史編著 (同報舎)



どんなことであれ、行動を起こすことは勇気のいることだ。この本はそんな勇気を出した人の記録だ。なかでも僕が感銘を受けたのは森田三郎さんだ。自分がかつて遊んだ干潟が、ゴミ捨て場のような状態になってしまったことに気づいた森田さんは、単身ゴミを拾い始める。周囲の不理解や、罵倒や、脅迫や行政からの圧迫にも負けずに、干潟のゴミを拾いつづける森田さん。数年ののち、ようやく一人、二人と協力者があらわれ、しだいに社会的に認められるようになってくる。ゴミを拾いはじめて十数年たって、ようやく、その干潟は国や県や国際社会にその重要性を認められるようになった。「仲間がいないから社会を変えられない」「周りが理解しないから動かない」のではない。たった一人の行動から社会は変わってゆくのだという勇気を持たせてくれる一冊。



NO.34
●環境問題を基礎から学びたい時、オススメの1冊●
地球環境キーワード事典
地球環境研究会・編(中央法規)



環境問題に関する本は数あるけれど、そのなかでもこの本は素晴らしい。
基本的に、信頼できるデータのみを使用して、文章が組み立てられている。これはとても大切なことだ。環境問題を論ずるひとはたくさんいて、なかにはいい加減なデータや、極めて主観的なデータをつかって文章を書いていることもある。
例えば、電力関係の会社が出す「環境問題の本」は、「電気はエコロジーです」と書き、ガス会社が絡んでいる「環境問題の本」は、「ガスはエコロジーです」と書く。ある本では「塩ビはなくすべきだ! ダイオキシンが出る!」と主張していて、別の本を見ると「塩ビは意外と環境にやさしいものだし、他の物を燃やしてもダイオキシンはでることはでるのだ」と主張している。
それぞれ、自分たちが信じるデータを使って論じているわけだけれども、受け取る側としては、とても混乱する。
その点、「地球環境キーワード事典」は、読み手が混乱しなくてすむ本だ。なぜ地球が温暖化し、なぜ酸性雨がふり、なぜオゾン層が壊れるのかが明快にわかる。どういう取り組みがされていて、どこまで進んでいて、これから何をすべきかが見通しやすい。地球環境問題の全体像を、ヒステリックではなく、どこかの業界に偏るわけでもなく、しっかりと把握するには一番の一冊。



NO.33
●自分のしごとを前向きにとらえたい時、オススメの1冊●
ぼくたちは、銀行を作った。ソニー銀行インサイド・ストーリー
十時裕樹・著(集英社インターナショナル)



ゼロから何か事業をたちあげようとおもったら、こういう柔らかい本を読むのもよい。ソニー銀行というまったく新しいスタイルの銀行をつくるなかでの笑い話や苦労話を、とっても読みやすい文体で教えてくれる。「あのー、銀行をつくりたいんですけど」といって金融監督庁の役人に話すシーンなどは、まさにその窓口に僕もいるんじゃないかと錯覚するほど引き込まれる文章になっている。著者は、ソニー銀行の創設者。いろんな苦労をのりこえながらも、楽しく、笑いあふれる前向きな職場なのかなぁ、と勝手に想像してしまうほど、柔らかくて、楽しくて、前向きになれる一冊。



NO.32
●人類の行いをふりかえりたい時、オススメの1冊●
百年の愚行
Think the Earth Project・発行



20世紀という時代。この100年間に、僕たち人類が犯してきたさまざまな「愚行」をリアルな写真で切り取っている。あまりにもリアルな情景に、ときどき目を背けたくなる。しかし、目をそらしてはいけない。B52による空爆も、土壌中に無造作に捨てられる低レベル核廃棄物も、動物実験にさらされる哀れなサルも、印鑑などのために密漁された象牙も、ゴミの山も、捨てられた大量の農産物も、みんなみんな人間が引き起こしたものだ。
少し、冷静になって、自分たち人類がどういう生き方をしていくべきかを考えるのに役に立つ一冊。



NO.31
●環境問題の捉え方を色々知りたいとき、オススメの一冊●
グリーンリーダー 原典で読み解く環境思想入門
A.ドブソン編著 ミネルヴァ書房



環境問題というものを、どうとらえ、どう行動していくか、その思想についてふれた本。「ソーシャルエコロジー」「ディープエコロジー」「グリーンコンシューマー」「反グリーンコンシューマリズム」「エコフェミニズム」「バイオリージョナリズム」などを説いた原著のエッセンスを55も紹介し解説を加えている。また、「沈黙の春」「成長の限界」「ガイア仮説」などの有名な思想書からの抜粋もあれば「アースファースト!」という強烈な環境保護団体のアクションの方針を書いた文章もある。環境問題のとらえ方にも色々あるんだなぁ、自分はどう対峙しようかなぁと考えを深めるのに役に立つ一冊。



NO.30
●新しい事業を起こしていきたいと思ったとき、オススメの1冊●
アントレプレナーになろう!
福島正伸・著(ダイヤモンド社)



ゼロから何か事業をたちあげようとおもったら、こういうパワフルな本を読むのがよい。アントレプレナーは起業家という意味で、この本は独立したりこれから起業する人にとってバイブルになっている本だ。企画書の書き方や、アイデアの出し方、探している人との出会い方など実利的で勇気づけられるお話しがたくさんはいっている。基本を学び、また実践のあとに読み返すべきよい一冊。



NO.29
●エコロジーで食べていきたい!と思ったとき、オススメの1冊●
エコロジーショップ本日開店
日野雄策・著(ほんの木)



お茶の水<GAIA>をご存じだろうか? 日本のオーガニックショップのさきがけともいえるこのショップを立ち上げたのが日野雄策さんだ。日野さんはその後、日本各地のオーガニックショップの立ち上げに関わり、多くの社会起業家を育て、アドバイスしている。そんな日野さんの生き方の原点、GAIAの立ち上げ苦労話、売れるオーガニックショップの秘訣、木頭村の地域おこしの話し、あたらしい働き方の提案などを具体的な体験談を通じて学ぶことができる。深刻な環境問題を深刻な顔をして伝えるのではなく、具体的な商品や店頭でのコミュニケーションを介して伝えることを学べる意味深い一冊。

※日野雄策さんをおまねきしたシンポジウムを9月10日・アムラックス東京にて開催します!また、日野さんとともにディスカッションした記録が、ちかじか環境goo上で公開されます。
詳しくはhttp://eco.goo.ne.jp/eco_seminar/index.htmlをご覧下さい。



NO.28
●世のため、自分のためのしごとをしたいと思ったとき、オススメの1冊●
社会起業家 ーよい社会をつくる人たちー
町田洋次・著(PHP文庫)



社会起業家(ソーシャルアントレプレナー)。社会問題を解決するタイプの事業を興していく人のことだ。環境、医療、福祉、教育など多様なシーンで社会サービスを提供している。単なるボランティアとも、経済的利益だけを追求する起業家とも、違う、新しいアプローチだ。
だれしもが、「社会の役に立ちたい」と思う。しかし多くの人は「それでは食っていけない」と思いこんでいる。そんなことはない。社会にいいことをして、かつ食べていける道が必ずあるはずだ。そんな視点で学びの多い一冊。

※後日談・・・エコのもりセミナーの仕事で、実際に著者にお会いして、ぜひこの人を招いたシンポジウムを開催しよう!と思いました。9月10日にアムラックスホールにでシンポジウムを開催します。近々、http://eco.goo.ne.jp/eco_seminar/index.htmlにて詳細を発表します。
関心のある方はチェックしてください!



NO.27
●ファシリテーターについて知りたいと思ったとき、オススメの1冊●
ファシリテーション革命
中野民夫・著(岩波アクティブ新書)



今年は「ファシリテーターの年」と著者の中野さんは言う。全くその通り。今年はファシリテーターという人が注目され、一般化していく年だと思う。僕自信もファシリテーターに関する事業を拡大していきたいと思っている。この数年でファシリテーターをめぐる環境は大きく変わって行くだろう。個人的には、日本に3万人ぐらいのプロ・ファシリテーターが出現している状況を、自分が生きている間に作っていきたいと思っているぐらいだ。そんななか、この本の役割は大きい。誰が読んでもわかりやすく、かんたんにファシリテーターという人の役割と、ファシリテーションということがどういうことなのかを伝えてくれる、この分野で最高の一冊。本を手にして1時間で読んでしまい、すぐに著者に「こんな本をだされて、くやしい!と思いました」とメールをうってしまったほどの本。



NO.26
●森のことについて知りたいと思ったとき、オススメの1冊●
木持ちの問題?日本人の木材消費とライフスタイル?
A SEED JAPAN森林チーム・編集(A SEED JAPAN)



「森なんて消えてなくなってしまえ!」なんて思っている人はそうはいないんじゃないかと思う。でも確実に森林は消えてなくなろうとしている。たとえあなたが木を切らなくても、日本人の紙の消費は世界平均の5倍を越え、必然的に世界中の木を切っていることになっているのだ。
僕たち日本人は木造住宅を20年ちょっとで使い捨てしている。選挙のたびに熱帯材をつかったパネルを使い捨てしている。
そんな僕たちのライフスタイルを変え、森林と共生する世紀にしていこう。森林問題の全体像をつかみ、「紙」「家具」「住宅」という三つの商品を切り口にどうすれば森を壊さない生活ができるかを、具体的に伝える本だ。ぜひ読んでほしい。
◆この本は以下ののサイトで購入できます!
http://www.aseed.org/shop/index.html



NO.25
●なにを仕事に生きていこうかを考えるとき、オススメの1冊●
就職先は森の中 インタープリターという仕事
 川嶋直・著(小学館)



まずは、心の中に「自分事務所」を設立しよう。川嶋さんはそう呼びかける。「仕事をください」なんて情けないことをいわないで、「自分が考える仕事をカタチにしてみようよ」と、呼びかける。今、ようやく、インタープリターという仕事が職業として成立しつつあるが、川嶋さんが活動をはじめた当時はそんな肩書きで仕事をする人は日本にはひとりもいなかった。新しい事業、新しい仕事、新しい業界をつくっていくうえでの、いろいろな人との出会いや試行錯誤を、肌で感じることができる本。僕がもっとも尊敬する人のひとりである川嶋直さんの、楽しくも厳しい人柄がつたわってくるすばらしい一冊。



NO.24
●自分の文章じゃ「伝わらないなぁ」と感じたとき、オススメの1冊●
『絵くんとことばくん』
 天野祐吉・文 大槻あかね・絵(福音館書店)



月刊「たくさんのふしぎ」のシリーズには大人が読んでも勉強になるものがある。この絵本は、小学校4年生の男の子が、お母さんにむけて「おこづかいを増やして!」とうったえるポスターをつくっていくお話しだ。どうやったらお母さんにつたわるんだろう?と考えていろいろなポスターをつくっていく。直接的に「ふやせ!」と言うだけでは伝わらないことを、「絵」くんや「ことば」くんと相談しながら学んでいく。結局15パターンのポスターをつくり、おかあさんにベストな一枚を見てもらえるようにするわけだが、そのなかでコピーライトの仕方、イラストの使い方、人への伝え方の本質を学ぶことができる貴重な一冊。



NO.23
●お説教じゃなくて伝えたいと思うとき、オススメの1冊●
大人たばこ養成講座
 岡本欣也ほか・制作(美術出版社)



日本たばこ産業(JT)のマナー広告集。たばこのマナーを改善するためにはまじめくさって「たばこをポイ捨てするな!」と説教するのではなく、冗談まじりに伝えたほうが伝わる。お花見でのお作法、夏祭りでのお作法、海辺でのお作法、鍋処でのお作法など、日本人の生活習慣や季節事は行事にあわせて、行事を楽しむテクニックと同時に、たばこ好きの「大人のマナー」を教えてくれる。僕はたばこを吸わないが、こういう伝え方を身につけていきたいと思う一冊。



NO.22
●平和な社会をつくりたいあなたへオススメの1冊●
日本の兵器工場
鎌田慧著 潮出出版



平和な世の中をつくりたい。そう思っている一方で、武器産業というのがある。武器をつくって売る仕事だ。国連の常任理事国5カ国だけで、世界の武器の8割をつくっているという話しを聞いたことがある。今回のアメリカの軍事的な動きの背景を語るときにも、武器産業が世界の紛争や戦争を引き起こしているんじゃないかとかいわれながら、その実態はあまり知られていない。ちなみに日本にも武器をつくっている企業がたくさんある。驚くことに、僕たちの知っている家電メーカーや自動車メーカーも鉄やアルミをつくる会社や造船会社も、武器産業の一翼をになっているのだ。そりゃそうだ、潜水艦も、爆撃機も、戦車も、船や飛行機やクルマとなんら変わりない原理で動いているのだから。なかにはせっせ武器を海外に輸出する企業ももちろんある。輸出された武器がいま、まさに世界各地で使われている。残念なことに「環境企業」としてイメージを売っているところも、武器をつくるのに参加している。環境報告書なんかには「うちは武器をつくってます」なんて出てこないので、意外としらないものだが、この現実には目を向けた方がいい。古本屋で買った1979年の著作。当然のことながら、最新情報ではないけれど、それでも読む価値のある一冊。「我が企業は、武器をつくってもうけるのをやめました!」という企業が出てくれば、僕は拍手して、応援したり、そこの製品を買い支えたりしたいと思う。



NO.21
●持続可能な暮らしを実践したい人に、オススメの一冊●
パーマカルチャー 〜農的暮らしの永久デザイン〜
ビル・モリソン レニー・ミア・スレイ著 田口恒夫/小祝慶子訳(農文協)



日本でおそらく唯一のパーマカルチャーに関する本。農的な暮らしを軸に、あらゆるものを配置していくパーマカルチャーの考え方、基本理念にはじまり、具体的な農作物の配置、鶏小屋の配置、雨水の利用、有用植物の種類、池のつくりかたから地域通貨にいたるまで、具体的な手法についても述べている。きわめて読み応えのある一冊。読んでいると、かつての日本の農家の智恵に通じるものを感じたり、すぐにでも自分の庭をもってつくりこみをしたくなる気持を沸かせてくれる。



NO.20
●考える視点がなくなっちゃった時に、オススメの1冊●
かんがえるカエルくん
 いわむらかずお・作(福音館書店)


カエルくんはかんがえる。草の気持を考えている。草のきもちになって考えている。どんどんどんどん考える。空はどこからが空なんだろう? 鳶にとっての空と、とんぼにとっての空とはちがうんだろうか? ぼくがジャンプしたところは、空なんだろうか? 哲学するカエルくんと、横で「なにかんがえている?」と問いかけるねずみくんとの禅問答のような楽しい絵本。大人も十分楽しめる。日々の暮らしが楽しくなる一冊。



NO.19
●ゴミ問題を地肌で感じる、オススメの1冊●
やまからにげてきた/ごみをぽいぽい
 田島征三・作(童心社)



表紙と、裏表紙の両方からはじまる本。ぼくは裏表紙から読むのが好きだ。
「あれもほしいこれもほしい」「やすいからどんどんかっておこう」と、スーパーで買い物しているところから始まる。「あまったからぽい」「あきたからぽい」「こわれたからぽい」「まだつかえるのにぽい」とわたしたちは捨て始める。「めんどうだからぽい」「うれのこったからぽい」「じゃまなゴミをぽいぽい」。
「ゴミあつめのくるまがみんなもっていってくれる」「ゴミはもやせばなくなるの?」と、ゴミ収集車が登場する。「もえたあとの灰はどこへゆくの?」「いろんなまちから灰をつんだトラックがやってくる」「やまのなかのおおきなゴミすてばをめざして」そして、「ゴミすてばからどくのみずがしみでてながれていく」。どろどろの最終処分場の絵。
東京にある「日の出最終処分場」のすぐそばにすむ作者のどろどろとした思いがこもった作品。僕たちの暮らしを、理屈じゃなくて変えていこうと思う必読の一冊。



NO.18
●「私1人じゃ何もできないよ」と思う人に、オススメの1冊●
わが青春の谷津干潟〜ラムサールへの道 森田三郎・干潟を守るたたかい〜
本田カヨ子・著(崙書房)

そんなことはない。1人でも世界は変えられる。すくなくとも僕はそう信じている。
「1人でもやれる」と勇気づけてくれたのは森田三郎さんだ。直接お会いしたことはないのだが、この本を通じて僕は1人でもこんなにやれるんだと目を見張った。
森田さんは、1974年のある新聞記事をきっかけに、東京湾に面した谷津干潟という小さな干潟のごみひろい運動をひとりではじめた。ひとりで干潟に捨てられたごみをひろい、保護をうったえる看板をたて、ひとりで観察小屋をたてて観察日記をつけ、ひとりでPRツールをつくって保護の重要性を伝え回った。看板はいくらたてても撤去され、ひらっている横でごみを捨てられたり、地域のひとに馬鹿にされたり、ののしられたりもした。でも、だんだん仲間がつどってきて、野鳥ももどってきて、地域の土木会社や、大きな環境NGOや、役所も認めたり協力しはじめて、ラムサール条約に指定される国際的な保護湿地にまでなっていった。という実話。
読みやすく、引き込まれるような文体を通じて、彼の不器用さと努力とが伝わってくる。一般の本屋で見つからないことも多いので直接出版社に、購入を申し込むことをおすすめする。
http://www.ron-syobou.co.jp/



NO.17
●「若者には力がないよ」と失望する前に、オススメの1冊●
竜馬がゆく
 司馬遼太郎・著(文春文庫)



いわずとしれた名作。まだ読んでいない方には、とにもかくにもお勧めする1冊。 明治維新の立て役者であり、日本の株式会社の走りをつくった人、商社という考え方を具現化した人、ひょうひょうと生きる正直者、日本ではじめて新婚旅行をした人であり、剣の達人でもある。ともかく憎めない大物、坂本竜馬が、自分の使命を認識し、活動をはじめ暗殺されるまでの間は、たったの5年。たったの5年間で日本をひっくりかえしてしまった男だ。激動の時代に生きる若者のエネルギーを感じて欲しい。「俺たちもやってやろう!」と意欲のわいてくる本だ。彼らの視点、行動力、権力に実質的に立ち向かう力を見ていると、妙に力がわいてくる。「生き急いでいる」と批判されてもいい、駆け抜けたくなる。ライバルは同じ時代にいるとは限らない。



NO.16
●大企業の責任を考える人に、オススメの1冊●
ブランドなんかいらない 〜搾取で巨大化する大企業の非情〜
ナオミ・クライン著(はまの出版)



ナイキ、シェル、マクドナルド、GAP、コカコーラ、フィリップモリス、マイクロソフト、、。私たちがなじみある大企業を批判的に描いた本。いまや目をひらいて広告が目に入らない空間はないほどの企業の空間独占力。これをNo Spaceと呼ぶ。どこの国にいってもナイキがあり、世界中の人がマクドナルドを食べ、ネスカフェを飲んでいると、だんだん地域独自の衣類が、食事が、コーヒーがなくなっていくNo Choiceと呼ばれる現象。世界中でもっとも安くつくることができる工場労働者をもとめて、世界中を転々とする大企業。そこには安定した雇用や、労使交渉はなく、スキルが上がり賃金をあげるべき時期にくると工場閉鎖や解雇が連発されるというNo Job。私たちの暮らしは企業によって支えられている。が、しかし、ここまでブランド企業に依存してよいのだろうか? ここまで私たちの空間や、文化や、選択肢や働き方を規定されてしまうべきなのだろうか? これらの問いをするどくなげかけるナオミ・クラインの渾身の一冊。これを読むと、なぜ、シアトルのWTO閣僚会合で激しい抗議活動が行われたのかがすっかりわかる。分厚いがめげずに読んで欲しい。




NO.15
●最近なんとなく食欲がないひとに、オススメの1冊●
長崎オランダ村
 村上龍・著(講談社)



一気に読み進んでしまうスピード感あふれる小説。村上龍と、高校時代の後輩が、長崎・佐世保で久しぶりに出会い、食事をしながらいろんな話しをする。話しのテーマは、役所が段取りが命という話しだったり、息子の自閉症についてであったり、オランダ村におとずれた民族音楽グループの話しだったり、ひとりでかっこよくレストランで食事をする方法だったりして、ごちゃごちゃなのだが、とにかくテンポがよい。同時に、2人ともよく食べる。食べながら話す。一晩でシャコや、あらかぶや、鉄鍋餃子や、おでんや、ラーメンや、カラスミや、皿うどんなどをばりばりと食べて、体中にエネルギーがみなぎってくるのが伝わってきて、自然と僕も食欲がわいてくる。村上龍は言う、「自分の内臓を甘やかしてはいけないのだ」と。耳が痛い。



NO.14
●東欧について知りたい人に、オススメの1冊●
嘘つきアーニャの真っ赤な真実
 米原万里・著(角川書店)



僕たちはほとんど東欧について知らないも同然だ。歴史上、そこが共産主義の社会なんだというのは学んできたが、実際に東欧にいる人たちが何をたべ、どのように暮らし、どのような教育を受け、ソ連共産党、中国共産党、日本共産党のことをどのように見ていたのかについては、まったく知らないといってよい。著者は、共産党員の娘で小学校4年生のころに東欧にいた日本人女性。40年の時をへて、小学校4年生のころの同級生を訪ね歩き、当時からの共産主義社会の変貌を描く。10才の少女たちが、セックスや男の見分け方や人生論について語り合うシーンを、生き生きとした文体で、読みやすく描いた本。



NO.13
●日本という国を外からみなおす時に、オススメの1冊●
喪失の国、日本
M.K.シャルマ・著(文芸春秋)



外国人の視点から日本をみると、いかに我々の文化が特異であるかというのに気づく。インドからきたサラリーマン、シャルマさんがみた、日本というのはあまりにも特異な国だった。
成田空港では人の笑顔ではなく機械のアナウンスで迎えられたこと、日本のマンション(インドでは豪邸とか邸宅)という言葉のつかい方、料理をたべるときは「こころづくし」をいただくこと、飲みもしないのにはじめのビールをつきあったりすること、インドカレーを誤解されていることなどを、大まじめな体験記として書いてある。
シャルマさんはいう。「日本という国はすばらしい技術をもっている。しかし技術を進歩させる代償として、いろんなものを喪失してしまった。日本がすでに失ってしまったものを、わが国インドも失っていくのだろうか」と。そう、日本という国は、すでに大切なものを喪失してしまった国なのだ。僕たちは、これから、それをとりもどしていけるのだろうか?



NO.12
●ワークショップについて知りたい人に、オススメの1冊●
ワークショップ - 新しい学びと創造の場-
 中野民夫・著(岩波書店)



日本だけでなく世界各国で著者が体験したワークショップを紹介している幅の広い本。実にいろんなワークショップがあることに気づく。ワークショップとは、参加型の創造と学びの場。ファシリテーターはその進行役というか、そそのかし役ともいえる。著者自身も多数ワークショップを実施していて、説得力がある。



NO.11
●アイデアを出したい人に、オススメの、オススメの1冊●
発想法入門
 星野匡・著(日本経済新聞社)



アイデアを出す手法を46種類も紹介している。あまり愛想なく、淡々と手法を紹介しているが、いくつかは応用してみると面白い。僕がよく活用させていただくのは有名な「ブレイン・ストーミング」や「KJ法」の他に「焦点法」「欠点列挙法」「マトリックス・チャート」などだ。実際に市民活動団体として活用しやすいのも含まれているし、応用が難しいものもある。実施者の腕が試されるので楽しい。



NO.10
●NGOをつくって運営する人に、オススメの1冊●
NGO運営の基礎知識
 A SEED JAPAN、POWER〜市民の力〜・編著(アルク)



市民活動団体を運営するうえでの、様々な知識や考え方を紹介している実践書。日 本において発売されたNGOやNPOのマネジメント本のなかでは、初期のモノ。A SEED JAPANという青年の環境NGOで僕たちがいちから積み上げていったノウハウが書かれている。第1章の「ミーティングのすすめ方」にはじまり、「リクルートメント」「戦略の立て方」「資金調達」「プレゼンテーション」など17の項目にわたって紹介している。今、思えば、あれもこれも足りないと思うこともあるが、当時としてはこれがせいいっぱいだった。あれから5年がたとうとしている。ぜひ、また次の本を出したいと思う。

※2003年12月、絶版となりました
※2007年01月、購入希望の方は、青木将幸ファシリテーター事務所までご連絡ください



NO.7,8,9
●参加型のまちづくりや意志決定に関心ある人に、オススメの3部作●
『参加のデザイン道具箱』
『PART2 プロセスデザイン:事例とワークブック』
『PART3 ファシリテーショングラフィックとデザインゲーム』

 発行:世田谷区都市整備公社 まちづくりセンター



とても優れた3部作。日本にワークショップという手法を普及させた役割は大きい。
1作目は、住民参加でまちづくりを行う際に注目されている「ワークショップ」とは何なのか、具体的にどんなワークショップの手法にはどんなものがあるのかを示している。
2作目は手法というより住民参加全体のプログラムのつくりかた、事業の事例、使えるワークシートなどを紹介している。
3作目は、参加者の意見がみるみるうちに図や文字となって整理されていくファシリテーショングラフィックの手法を紹介している。具体的にどのマーカーをどうつかうときれいに模造紙に字を書くことができるかなど、基礎テクニックとともに、しろうとが公園やまちづくりのプロセスに関わっていくデザインゲームの事例を紹介している。いろいろな人をまじえて、いっしょに計画づくりをする技術を身につけたい人にはオススメ。
書店にはなく、入手希望者は世田谷区都市整備公社・まちづくりセンターへ連絡を。
電話03-3411-6634
http://www.setagaya-udc.or.jp/machisen/



NO.6
●企業のあり方を考えるうえで、オススメの本●
企業評価の新しいモノサシ 〜 社会責任から見た格付け基準〜
斉藤槙・著(生産性出版)



世界中の国家と企業とを横並びにしたときに、経済力(国家の場合はGDP、企業の場合は売り上げ)でランキングしていくと、トップ100団体のうち、51は企業、49が国家である。
三菱商事と三井物産は、人口で世界4位をほこるインドネシアよりも経済力があり、トヨタ自動車はイスラエルやギリシャよりも経済力がある。松下電器産業は、シンガポールやフィリピンより経済力がある。経済発展をつづけた20世紀で、企業は国家を越える力をもちつつある。
僕たちは、国家をコントロールする方法やルールを(弱いながらも)いくつか持っている。選挙をして意思表明をすることや、税金を納めている側としてのアカウンタビリティを求めることもできる。いま、企業の規模が拡大をつづけるなか、僕たちは企業に対しても社会的責任を求め、市民サイドのコントロール権を確立すべき時が来たようにおもわれる。そんななか、企業サイドの人にもわかりやすく、このようなデータと、社会的責任を果たす必要性、ならびに具体的な手法を説いたのがこの本だ。主にアメリカの企業の例が多いが、本質的に企業のあり方を考える上で、大変参考になる本である。



NO.5
●市民参加を考えるうえで、オススメの本●
市民参加のデザイン
市民・行政・企業・NPOの協働の時代

世古一穂・著(ぎょうせい)



日本型の社会システムは行き詰まりを見せている。そんななか注目されるのがNPOだ。この本では、NPOが拓く市民社会という切り口から、市民参加のありかたを伝えている。NPOの基本的な理解だけではなく、市民参加時代における行政の役割を規定し、かつ、もしパートナーシップでことにあたるのであれば、その原則を説いている。
見せかけだけの市民参加に終わらせないように、骨太に攻めていくピリリとした薬のような本だ。このタイプの本で多いのが、著者自身が市民サイドに立っていなかったり、あまりNPOの現場を知らなかったりするのだが、世古さんは違う。これまでの地道な経験からの、肉声であり、かつ、現在も市民社会を担う人づくり・しくみづくりを手がけている正真正銘の「ほんまもん」である。姿勢を正して読みたいたい本だ。



NO.4
●地球の限界を知るうえで、オススメの本●
生態系 人間存在を支える生物システム
瀬戸昌之・著(有斐閣)

人間は、どういう星に生きているんだろう。人間を含むすべての生物は、自然の巧みな有機的つながり(生態系)のなかで生きている。その生態系のしくみを、科学的に、かつ限りなくわかりやすく教えてくれる本だ。この本では、理系的な側面だけでなく、世界の食糧が量的には十分あるのに、飢餓人口が増えている点や、バイオマスエネルギーが現在の石油エネルギーに代替するほどの量がないということ、下水道というしくみが局所的には環境汚染を減らしているように見えるが、トータルで見るとそうでもないということなど、社会的、総合的な側面からとらえている。世界中で行われている国際分業(ある国は、農産物を輸出し、ある国は工業製品を輸出するなど)が、いかに生態系に取り返しのつかない負荷を与えているかということを痛感する。
たとえ人間が、どんなに技術を革新したとしても、僕たちの生命をささえる地球には限界があるんだということを、冷静に「トータルで」とらえることができるという点でオススメである。地球環境問題を考える際の必読書といえる。



NO.3
●水は誰のものか?を考えるうえで、オススメの本●
BLUE GOLD 〜独占される水資源〜
モード・バーロウ・著 市民フォーラム2001・翻訳(現代企画室)

企業の役割が拡大し、もともと公共のものであった、土地や空気や水は「商品」となりつつある。グローバル経済が発達するなかで、企業に独占される水資源の現状をレポートしたもの。限られた資源を商品化することで、じつに家計の25%を水を買うために割いているインドの住民、ますます巨大化するペットボトル入りの水の売買、水源地を買い取り確保しはじめる企業の動きと、その動きを助長する世界貿易のルールを徹底的に批判する。批判と同時に、水を保全する10の原則を提言している点で、オルタナティブな社会的責任を果たしているといえる、ラディカルな水の本である。
冒頭の言葉は世界銀行の副総裁の言葉ではじまる「来世紀、紛争の火種となるのは水だろう」。
人間は水がないと、生きていけないのに、どうしてそれを所有したり、金持ちのものにしようとするのだろうか?



NO.2
●たまには詩でもよむか、と思ったときの一冊●
ココペリ
発行:人間家族編集室 ななおさかき著 2000円+税



NO.1
●教育のあり方を考えるうえで、オススメの本●
「まなび」の時代へ 〜 地球市民への学び・30人の現場〜
ワークショップ・ミュー・編著(小学館)



知る人ぞしる、生きる長老、ななおさかき。地球や大地や戦争や人間の愚かさをうたう彼の詩は、国境を越え、民族を越えて愛されている。そんな彼の詩集であり、他の民族でうたわれている詩の翻訳であり、インタビューがのっている本。とりわけ「21世紀には」という詩には感化された。ココペリとは、ネイティブアメリカンの間に生きる精霊で、せむしの笛吹、セミの化身と呼ばれている。本もよいが、実際にななおの口から発せられる詩をきくのは、また格別。ときに力強く、ときにお茶目なななおの朗読を、僕は一生忘れられないと思う。

教育の役割とは何だろうか? 僕たちが受けてきた文部省教育とは、少し違った切り口でいどむ「異端な」30 人の教育者の現場をレポートした本。環境教育、ボランティア学習、国際理解教育、同和教育、フリースクールなどと、いろいろな冠をつけられて行われる未来への教育。ばらばらの分野のように見えるが、すべて読み終わったあとに感じるのは、どの分野にも共通する部分があるということだ。それは「感性をもち、自分の頭で考え、問題解決のために、自ら行動するひと」を育てるということだ。本来の教育とは、知識のみをつめこんで覚えさせるものではなく、その人のもつ「行動力・問題解決能力」を引き出していく作業なのだと思う。
そういう意味で、この30人の教育者たちを、この本ではファシリテーターとよんでいる。ファシリテーターとは、「引き出す人」という意味だ。未来へ向けた教育を考える上で、この30人の現場や息づかいを感じることができる本書は大変貴重な事例である。また、同時に、この30人の次をになう、若くてオリジナリティのある教育者の登場が望まれている。



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